セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

ビヤステーション恵比寿

2017年06月29日 | グルメ

世界報道写真展の前に、ビヤステーション恵比寿で軽くビールをいただきました。この写真展は毎年夏に開催されるので、ビール好きの家族の希望で、東京都写真美術館と同じ恵比寿ガーデンプレイスにある、こちらのビヤホールにつきあわされます。行くのが恒例となっています。

おしゃれなお店...ではないですが、ブリュワリーがあって、できたてのおいしいビールがいただけます。久しぶりに訪れたら、メニューが新しくなっていて、つばめグリル風?のお料理があったので、オーダーしてみました。

トマトの丸ごとサラダ。湯むきしたまるごとトマトの中にポテトサラダが入っていて、トマトソースがかかっています。上にはカッテージチーズがトッピング。

右に見えるのは、期間限定の”クラフトラベル 柑橘香るペールエール”。ふわっと柑橘系のさわやかな香りのする飲みやすいビールでした。

自家製ハンバーグと季節野菜のホイル包み焼き。アルミホイルの中に、デミグラスソースのかかった熱々のハンバーグが入っています。

ハンバーグもトマトサラダも、つばめグリルに似ていますよね。^^

ちなみにこちらがつばめグリルの”つばめ風ハンブルグステーキ”と”トマトのファルシーサラダ”。どちらもつばめグリルを代表する人気メニューです。

【参考記事】念願の♪つばめグリル (2008-01-17)

実はつばめグリルのハンバーグが懐かしくて、アメリカにいた時にまねして作ったことがあるのです。

【参考記事】懐かしいつばめグリル (2007-03-20)

自画自賛ですが、なかなかいい感じにできているでしょう?^^ こういういたずらが大好きです。というわけで、親近感を覚えてちょっとうれしくなりました。

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今年は久しぶりに梅酒を仕込みました。

以前は、梅酒と梅干を毎年作っていたのですが、海外に引越する際に道具を全部手放して以来、作るのをやめていたのです。でも今年は家族からリクエストがあって、梅酒だけ久しぶりに再開することにしました。

梅1kg、ホワイトリカー1.8リットル、氷砂糖600gという配合で、2リットルの容器2つに分けて作りました。これを冷暗所に置きますが、容器のサイズが我が家の冷蔵庫の野菜室のくぼみにぴったり収まり、ちょっとうれしくなりました。3ヵ月以降に飲み頃となるので、今から楽しみです。

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世界報道写真展2017 

2017年06月28日 | アート

東京都写真美術館で8月6日まで開催中の「世界報道写真展2017」を見に行きました。この後、大阪・広島・埼玉・滋賀・京都・大分に巡回します。(スケジュールはコチラ)

オランダで毎年開かれる「世界報道写真コンテスト」で選ばれた、8部門45人の受賞作品が展示されています。今年も戦闘地域や難民の現状をはじめ、過酷な作品が数多くありましたが、ここでは比較的刺激の少ない作品からいくつかご紹介させていただきますね。

ポスターの写真は、自然の部・単写真1位に選ばれた、スペインのフランシス・ペレス氏の作品。カナリア諸島テネリフェ島沿岸で、漁網に絡まり泳げずにいるウミガメをとらえています。アカウミガメは国際自然保護連合から絶滅危惧II類に指定されていますが、放置された漁具による死が頻発しているそうです。

大賞を受賞したのは、トルコ・AP通信のブルハン・オズビリジ氏による組写真です。2016年12月19日、トルコ・アンカラの美術館で起こった駐トルコ・ロシア大使暗殺事件の瞬間をとらえています。犯人(トルコ人警察官)は「アレッポを忘れるな。シリアを忘れるな。」と叫び、駆けつけた特殊部隊によって射殺されました。

人々の部・単写真1位に選ばれたスウェーデンのマグナス・ウェンマン氏の作品。イラク北部デバガ難民キャンプで母親に慰められる少女マハ(5歳)の悲しみの表情をとらえています。ISによって故郷の街が制圧されて薬と食料が残りわずかとなり、マハたち市民は1週間前にこのキャンプにやってきました。

 

現代社会の問題の部・単写真1位に選ばれたアメリカ・ロイターのジョナサン・バックマン氏の作品です。この写真はSNSで何度も見て、私も強く心に残っていました。

2016年7月5日、バトンルージュで白人警官が至近距離から黒人のアルトン少年を射殺する事件が発生。度重なる警察官による黒人射殺事件に抗議して、警察官たちを前に静かに歩み寄る黒人女性イエシア・エバンスの毅然とした姿をとらえています。

日常生活の部・単写真2位に選ばれた中国の王鉄軍氏の作品。中国・徐州の体操学校で、つま先の圧力のトレーニングを行う少女たちの姿をとらえています。中国には2000を超える体育学校がありますが、そこでは過酷な訓練が行われています。

人々の部・単写真3位に選ばれたロシアのクリスティーナ・コミリツィーナ氏の作品。2016年11月25日、キューバ元国家元首フィデル・カストロ氏が永眠しました。写真はキューバ中部カマグエイの警察署にて。全国を巡回していた氏の葬列がちょうどカマグエイを出たところを、テレビで見守る母娘の姿をとらえています。

例年にならって、最後に気持ちが明るくなる写真を。スポーツの部・単写真3位に選ばれた、ドイツ・ロイターのカイ・オリバー・プファッヘンバッハ氏の作品です。

ブラジルで開催されたリオデジャネイロ夏季オリンピックで、100m準決勝で勝利し、ふり返りながら笑顔を見せるウサイン・ボルト氏の姿をとらえています。ボルト氏は100mおよび200m競技において、オリンピック3大会連続金メダルを受賞しました。

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今年の受賞作品はこちらのサイトで見ることができます。
WORLD PRESS PHOTO 2017

他の年の感想はこちら。
世界報道写真展2019
世界報道写真展2018
世界報道写真展2011-2016

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海の見える理髪店

2017年06月26日 | 

荻原浩さんの短編集。第155回(2016年上期)直木賞受賞作です。

荻原浩「海の見える理髪店」

荻原浩さんを存じ上げなかったのですが、渡辺謙さん主演の若年性アルツハイマーを題材にした映画「明日の記憶」の原作者の方と知り、作風になるほど...と納得しました。何度も直木賞にノミネートされ、5回目にして受賞されたベテランの作家さんです。

本作は6編からなる短編集。それぞれの関連性はありませんが、どれも穏やかな筆致ながら、現代を生きる私たちにとって身近な問題や生きづらさがさりげなく織り込まれていて、読んでいて胸の苦しさを覚える作品もありました。

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6編の中で白眉だったのは、トップバッターを飾り、表題作でもある「海の見える理髪店」。海が目の前に見える高台の小さな家で、おやじさんがひとりひっそりとやっている床屋さん。かつて、ある大物俳優も彼の腕に惚れ込み、通っていたという伝説の理髪店です。

いつもは美容院に通っているデザイナーの僕は、ひょんなことからその店に行ってみようと思い立ち、予約を入れます。初めて訪れる床屋。熟練したおやじさんの腕にただ身を任せる僕に、おやじさんは自分の身の上をぽつりぽつりと話しはじめます...。

はじめは少々たいくつだな...と思いながら読んでいたのですが、ラストまで読んでがつんときました。登場人物はおやじさんと僕の2人で、しかもほとんどがおやじさんのひとり語りですが、短編らしい効果が生きていて、舞台劇にぴったりの作品だと思いました。脳内キャスティングで、吉田鋼太郎さんと妻夫木聡さんが思い浮かびました。^^

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ニューヨークづくしの夕食

2017年06月23日 | 料理

この日の夕ごはんは、ニューヨークづくしのメニューでした。

まずは、マンハッタン・クラムチャウダー。クラムチャウダーといえば、あさりの入ったクリームスープがポピュラーですが、正確にはニューイングランド・クラムチャウダーといい、このほかにトマト味のマンハッタン・クラムチャウダーというのがあります。

マンハッタンのイタリア移民が考えた(アレンジした)といわれていますが、あさり入りのミネストローネといったところでしょうか。食べる時に六角形のオイスタークラッカーをくだいてかけるのが定番ですが、この日は刻んだあさつきを彩りに散らしました。

シーザーサラダ。ニューヨーク生まれのサラダといえば、ウォールドーフサラダ(りんご・セロリ・くるみをマヨネーズであえたサラダ)がありますが、気分ではなかったので、アメリカの定番シーザーサラダにしました。最近はロメインレタスがいつでも手に入るようになってうれしいです。

シーザーサラダは、メキシコのアメリカとの国境の街ティファナにある、シーザーズ・プレイスというお店で生まれたそうです。炒めたにんにくとベーコン、すりおろしたパルミジャーノ・レッジャーノを入れたドレッシングであえ、上からもパルミジャーノをたっぷりすりおろしました。

ニューヨーク・ストリップ・ステーキ...と言いたいところですが、正確にはオージービーフのサーロインです。^^; でもおいしく焼けて大満足でした。マッシュポテトとクレソンを添えて。これに、わさびとしょうゆを入れた和風味のソースをかけるのが、我が家の定番です。

デザートにニューヨーク・チーズケーキを焼きましたが、おなかがいっぱいだったので翌日の朝にいただきました。アメリカでは、ボストンクリームパイ、キーライムパイ、ミシシッピマッドパイなどと並ぶ代表的なご当地ケーキのひとつです。

ニューヨーク・チーズケーキの特徴といえば、クリームチーズたっぷりの濃厚な味、そして砕いたクッキーで作るボトム。クッキーはグラハムクラッカーが定番ですが、私は家にあったLotusのカラメルビスケットを使いました。オレオで作ると黒いボトムになります。

ふわふわのスフレタイプのチーズケーキもおいしいですが、私はこのどっしりとしたチーズケーキが大好きです。

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GARB CENTRAL @東京ガーデンテラス紀尾井町

2017年06月22日 | グルメ

赤坂プリンスホテルの跡地に昨年オープンした複合施設、東京ガーデンテラス紀尾井町にお昼を食べに行きました。

紀尾井町通りに面した広場では、カラフルで大きなパブリックアートがお出迎え。大巻伸嗣さんの「Echoes Infinity ~Immortal Flowers~」という作品です。キラキラと華やかでインパクトがありました。蝶々や日本の花々がモチーフになっています。

お昼は、この広場に面したGARB CENTRAL(ガーブ セントラル)というカフェでいただきました。ランチセットは3種類あり、こちらはいろいろなお料理を一枚のお皿に盛り合わせたガーブランチ。チキンとグラタンとコロッケ、サラダや野菜料理など。

私はパスタランチをいただきました。この日は、イカとズッキーニ、トマトなどを使ったアーリオオーリオ。水菜がたっぷりですが、パスタの熱でしんなりしてもりもり食べられました。

人がいなくなった時にパチリ。気持ちのよいお天気だったので、テラスの席でいただきました。広場に面していて解放感があり、リゾート気分が味わえました。

食後に、敷地内をぶらりと散策してみました。オフィスビルの下層がレストラン街になっていますが、場所柄ビジネスランチや、商用を意識したお店が多かったように思います。敷地は高低差があり、弁慶濠の見えるゆるやかな散歩道をのぼると、プリンス通りに面して高台の広場があります。

プリンス通り側の広場には、赤坂プリンスホテル旧館(旧李王家邸)が移設されていました。クラシックな洋館は、結婚式場とレストランになっています。周りを取り囲むガーデンでは、バラがきれいに咲いていました。

右に見えるのは、名和晃平さんの「White Deer」という作品。鹿の剥製を3Dスキャンしたデータをもとに作られているそうですが、パールホワイトに輝く鹿には、神々しい佇まいがありました。

クラシックハウスの裏から、隣接する清水台公園へとつながるように、緑の散歩道が続いています。右側はビオトープとなっていて、小さな川が流れていました。左に見えるアートは、ジュリアン・ワイルドさんの「System No. 31」という作品。敷地内のあちこちに設置されたアートが、周囲の景観にアクセントを添えていました。

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セールスマン

2017年06月21日 | 映画

イランのアスガー・ファルハディ監督によるサスペンスドラマ。カンヌ国際映画祭で男優賞と脚本賞、アカデミー賞では監督が2度目の外国語作品賞を受賞しましたが、トランプ政権に抗議し、授賞式をボイコットしたことも話題になりました。

セールスマン (Forushande / The Salesman)

ファルハディ監督の作品は、これまで「彼女が消えた浜辺」「別離」「ある過去の行方」と見てきましたが、私にとってはイランの現代社会への扉であり、そこに生きる人々の普通の暮らしや背景となっている文化、とりわけイスラムの信仰や思考に触れられる貴重な機会となっています。

監督の作品を通して見るイランは、女性も自分の主張をもつ民主的な社会で、意外にも私たちの生活となんら変わらないことに驚かされます。しかし物語はサスペンスタッチで展開し、イスラムならではのメンタリティが、重要なカギとなっています。2つの異なる世界観が起こす化学反応に、私はいつもうならされます。

さて本作は、隣の建設工事のせいで集合住宅が倒壊しそうになり、住民たちが慌てて避難する...という騒ぎからはじまります。高校教師で劇団俳優のエマッドと、妻で劇団女優のラナも住む場所を追われ、友人の紹介で、急きょ仮住まいに引越しますが、その後まもなく、夫の留守中に、ラナが何者かに襲われるという事件が起こります。

すぐに警察に届けようというエマッドに対し、事件が表ざたになることを恐れるラナ。ラナの気持ちを尊重しつつも、犯人への怒りを抑えきれず、残された車の鍵から独自に犯人探しをはじめたエマッドは、とうとう犯人をつきとめますが...。

最初は、これだけ証拠が残っていて、目撃者もあり、あきらかに傷害事件とわかるのだから、すぐに警察に届ければいいのにと思いましたが、警察に届けることで、よけいな詮索をされたり、自分の不用心を責められたり、事件が明るみになることでかえって傷つくことをラナは恐れたのでしょう。

一方で、ラナの気持ちを尊重して、警察には届けなかったものの、なんとか犯人を見つけ出して謝罪させたい、なんらかの罰を与えたいというエマッドの気持ちもよくわかります。

相手を痛めつけたところで納得できるわけはなく、かといって罪を赦したところで割り切れない思いはいつまでも残るでしょう。思いがけないなりゆきで事件は幕を閉じますが、夫婦の間の気持ちのずれと、葬られた真実は、これから先もしこりとなって残るような気がしました。

ラナとエマッドが所属する劇団の演目は、アーサー・ミラーの「セールスマンの死」。映画の中でも劇中劇として登場し、本作のストーリーとリンクしていることを暗示しています。映画化もされているようなので、近いうちに見てみたいと思います。

【関連記事】セールスマンの死 (2017-07-26)

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ガトーマジック(1)

2017年06月17日 | 料理

先日フランス発の話題のスウィーツ「ガトー・インビジブル」をご紹介しましたが、今回は、その前にフランスで流行したガトーマジック(gateau magique)をご紹介します。私も昨年何度か作ったのですが、そのまま記事にする機会を逸していました。

ネットにもたくさんレシピが出ていますが、私はこちらの本を参考にしました。

ガトーマジック フランスで生まれた、魔法の新食感ケーキ

このケーキの特徴は、生地をそのまま焼くだけで、フラン、カスタード、スポンジの3層に分かれること。一度に、もっちり、とろとろ、ふんわりという3種類の食感が楽しめます。水分が多く入るケーキですが、作り方のコツとしては、メレンゲを入れる時に混ぜすぎないこと。そうすることで生地を3層に分離させることができます。

型にオーブンペーパーを折り返しながら敷き詰めて、ラフな感じに仕上げました。

実は最初に作った時は、つい生地を混ぜすぎて、フランの層が大きく、2層になってしまったのです。これはこれでおいしかったですが...

2回目に作ったのがコチラ。今度はメレンゲを入れてからほんの軽く混ぜるにとどめたので、きれいな3層になりました。とろとろのカスタードの層ができた時には、やった~♪とうれしくなりました。

チョコレート生地でも作ってみました。

見た目は普通のガトーショコラみたいですが、ちゃんと3層に分かれています。こちらもおいしくいただきました。久しぶりにまた作ってみようと思います。

【関連記事】ガトー・インビジブル (2017-06-11)

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先日、夏にぴったりのアジア風フラワーアレンジメントを教えていただきました。タイのフラワーアーティストの方のデザインです。

黒を背景に写真を撮るとお花が映えますね。浅いお盆型の花器にフォームを敷き詰め、大きなカトレアを主役に、バラやカーネーション、ガーベラなどのお花をグルーピングしながら挿していきます。スティールグラスは東洋風にかごをイメージして挿してみました。華やかでトロピカルな雰囲気が気に入っています。

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ソール・ライター展

2017年06月15日 | アート

渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催している「ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展」(~6月25日まで)を見に行きました。

足跡 1950年頃

1月にBunkamuraに「マリメッコ展」を見に行った時に、上のポスターにひと目惚れし、楽しみにしていた写真展です。本展は、ニューヨークで活躍した伝説の写真家ソール・ライターの日本初となる回顧展。写真、絵画、資料など、200点以上が展示されています。

映画「Beyond the Fringe」のキャスト(ダドリー・ムーア、ピーター・クック、アラン・ベネット、ジョナサン・ミラー)とモデル「Esquire」  1962年頃

1923年、ピッツバーグでユダヤ教の聖職者の息子として生まれたソール・ライターは、神学生として学ぶも、画家を志してニューヨークに移住。その後、写真と出会い、1950年代に Harper's BAZAAR、ELLE、VOGUEなどのファッション誌で、カメラマンとして活躍しました。

床屋 1956年

しかし徐々に仕事が減少し、1981年にスタジオを閉鎖。表舞台から姿を消します。その後しばらく忘れられた存在でしたが、2006年、ドイツのシュタイデル社から写真集「Early Colors」を発表。その後、展覧会、作品集、ドキュメンタリー映画も作られ、再び脚光を浴びるようになりました。

雪 1960年

ファッション・カメラマン時代のモードな写真は、50年代のエレガントなファッションに身を包んだモデルがニューヨークの街角に佇み、洗練された美しさにうっとりしました。ケイト・ブランシェット主演の「キャロル」の映像も、ソール・ライターの作品にインスパイアされたと知り、納得しました。

郵便配達 1952年

1990年代に入って発表された作品は、ライターが50年代に撮影したものです。当時、カラー写真の現像は難しく、お金もかかったため、ライターは撮影した写真をフィルムのまま、現像せずに残していたのです。数十年の時を越えて、それらの写真が現像され、初めて披露された時は、まさに”歴史的瞬間”だったそうです。

ライターの作品は、アンバランスな独特の構図、ガラスに反射した像、雨に滲んだガラスの向こうの風景など、日常のひとコマをそのまま切り取った情景が実に魅力的。ポスターの写真は、ひと目見て、広重の浮世絵を思い出しましたが、ナビ派からも影響を受け「ニューヨークのナビ派」とよばれているそうです。

【参考記事】オルセーのナビ派展 @三菱一号館美術館 (2017-03-10)

自宅のあるイーストヴィレッジ周辺で、名もなき街角や市民の日常を、独自の視点で捉えたライターの作品。ニューヨークの街の息遣い、詩情と物語が感じられて、私はとても気に入りました。傘が好きなライター、雨や雪の情景が印象的でした。

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パトリオット・デイ

2017年06月14日 | 映画

2013年に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件の犯人逮捕劇を、マーク・ウォールバーグ主演、ピーター・バーグ監督のタッグで映画化。事件当日の朝から、事件後わずか102時間で犯人を逮捕するまでを、捜査官、被害者、関わった様々な人たちの目を通して描きます。

パトリオット・デイ(Patriots Day)

2013年4月に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件は、私にとっても記憶に残る事件でした。というのも、当時はTwitterをはじめてまだ間もない頃で、犯人の捕物劇が現地から分刻みでツイートされてくるのを、興奮しながら見守っていたからです。

続々と届く短いテキストだけでもその緊迫感に手に汗握りましたが、今回、映像を通して、当時現場ではどういうことが起こっていたのか、具体的に知ることができて感慨深かったです。市民を巻き込む爆弾テロも衝撃的でしたが、静かな住宅街であんなに激しい銃撃戦が起こったら、地域住民たちはとても生きた心地がしなかっただろうと想像しました。

犯人がボストン郊外で目撃されてからは、住民からも情報が次々と寄せられたと記憶していますが、本作を見て、FBIとボストン警察、そして地元警察と市民たちが心をひとつに連携したからこそ、短時間で犯人を逮捕できたのだなーと改めて実感しました。

爆破現場の衝撃的な光景、その後まもなく捜査本部ができて、防犯カメラや被害者・目撃者たちの証言をもとに映像を分析して2人の容疑者を特定したこと、犯人たちから車ごと拉致された中国人留学生の勇気ある逃亡と通報など、まるで映画のような展開に圧倒されました。

”愛は悪に勝つ”というメッセージは一見ありきたりですが、難局を乗り越えた被害者のことばだからこそ、万感の思いとして心に響くものがありました。ボストニアンのマーク・ウォールバーグをはじめ、レッドソックス、ボストンなまり、ダンキンドーナツなど、随所にあふれるボストン愛の描写にもほっこり。

パトリオット・デ―は、マサチューセッツ州、メイン州、ウィスコンシン州の3州で、アメリカ独立戦争開戦を記念して制定されている祝日で、この日は毎年ボストンマラソンが開催されます。パトリオットとは独立戦争当時のアメリカ軍の愛称ですが、本作のタイトルは、テロに対して屈しない、アメリカの愛国者精神も表しているように感じました。

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ガトー・インビジブル

2017年06月11日 | 料理

最近話題になっているフランス発のケーキ、ガトー・インビジブル(gateau invisible)を作ってみました。フランスで2015年頃から人気のケーキだそうです。レシピはこちらを参考にしました。

マスターしたい!話題のスイーツ、ガトー・インビジブル (BuzzFeed 2017-05-13)

大量のりんごの薄切りに、フラン(プリンのようなカスタード)の生地をまとわせて、型に入れて焼くケーキ。何がインビジブル(見えない)かというと、りんごと生地の色がほとんど同じなので、見分けがつかないということのようです。

オリジナルのレシピではパウンド型とありますが、生地の量が多そう...と感じたので、最初は18㎝のスクエア型を使って焼きました。

カットしてみると...

こんな感じ。ざくざくたくさん入ったりんごに、もっちりとしたカスタード生地がよく合って、これはこれでとてもおいしくいただいたのですが、できれば高さを出して、りんごの層がぎっしりと重なる生地の断面を楽しみたいところ。で、やはりパウンド型で作ってみることにしました。

生地をパウンド型の縁ぎりぎりまで入れます。焼いているうちにあふれないかと心配になりますが、プリンに似たほとんどふくらまないタイプの生地で、りんごからも水分が出るので、全体的にはむしろかさが減ってしっとりとした仕上がりになります。

型から出したところ。かちっとした直方体に仕上がります。

カットすると、りんごの層が幾重にも重なって、断面の模様が楽しめました。途中にブルーベリーをはさむと、ブルーがにじんできれいなツートンカラーに仕上がるようです。また試してみたいと思います。

【関連記事】ガトーマジック (2017-06-17)

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