町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

半蔵門線へ新時代の到来、東京メトロ18000系

2022年07月28日 | 首都圏の地下鉄

東京メトロ半蔵門線では営団地下鉄時代の押上延伸開業に合わせて新形式の08系を106編成導入しますが、1981年から運用されている8000系もこの時点では大規模修繕工事を控えており依然として10両編成19本の190両が主力として運用され、2形式が共存する状態が長く続いていました。8000系は2015年に全編成がVVVFインバーター制御化・車内更新を終えており、その後もLEDスクロールタイプだった初期更新編成の車内案内表示器を液晶画面化、三色LEDの行先表示をフルカラーLED化するなど小改造が続き、しばらくの間は現状維持かと思われましたが2019326日発表の中期経営計画「東京メトロプラン2021」内にて半蔵門線へ2024年度にCBCTを導入と併せて新形式18000系の導入が公表されました。202187日から第1編成(18101F)が運用を開始し、20227月現在では7編成が定期運用入りしています。

2003年登場の08系以来18年振りの新形式となった18000系は、先述の中期経営計画内で共に7000系置き換え用に発表された有楽町線・副都心線向け17000系と仕様を極力揃えており8000系・08系のイメージを引き継ぎつつも部品の共通化を図り保守コストを低減させ、環境面にも配慮しながら高品質な輸送サービスを提供しています。

半蔵門線は直通運転先の走行距離が長く、最先端の流行の発信地である渋谷・表参道、芸術の薫り豊かな清澄白河、世界一の高さを誇る東京スカイツリーのお膝元である押上を結ぶことから、「伝統と新しさが交じり合う街に更なる活力を」を設計思想に掲げ、沿線の街に更なる活力を与えるようなデザインとされています。これらのコンセプトが評価され20211020日には製造元である日立製作所と共同でグッドデザイン賞を、2022526日には鉄道友の会よりローレル賞を受賞しました。

車内は様々な目的の利用者に寄り添えるような設備とされ、ラインカラーの紫を基本に色合いを変えながら床敷物、座席、吊り手に取り入れ強化ガラス製の袖仕切り、妻面貫通扉は織物を思わせる図柄を配し開放感を持たせ伝統と新しさが混じり合う町と人々の活気を表現しています。車端部に設置されるフリースペース付近のドアは、レールの一部が切り欠き加工されており、車椅子やベビーカー利用者の乗降性を向上させ、バリアフリー面にも細かな配慮が盛り込まれました。

ドア上の液晶画面は銀座線・丸ノ内線・日比谷線などで見られる3画面タイプが採用されるかと思いきや、オーソドックスな17インチ画面を2台配置するタイプでした。鴨居部には防犯カメラも千鳥配置されるようになり、1両あたり4台が設置されています。

18000系の増備は2025年まで続き、引き換えに8000系は順次廃車になる予定で、これまで離脱した編成は群馬県の北館林で解体処分されています。8000系も大規模修繕で現代の水準を満たす接客設備を持っているので、どこか地方私鉄や海外からの引き合いがある事を期待したいところですね。

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21世紀に蘇った京王グリーン車・8000系8713F「高尾山トレイン」

2022年07月26日 | 京王電鉄(電車・バス)

京王電鉄では、世界有数の登山客を誇る高尾山とその周辺の更なる魅力向上を目指して2015424日に高尾山口駅リニューアル、1027日に同駅前に天然温泉施設「京王高尾山温泉/極楽湯」を開設し、沿線外へ向けて発信を行っています。その一環として同年930日より80008713Fに緑色をベースに高尾山の四季と若草の5パターンのイラストを配したラッピングを施し「高尾山トレイン」として運転を開始しました。かつて京王では初代5000系・3000系登場以前から運用していた車両に緑色の塗装を施しており、京王社内のみならず乗客からもグリーン車と呼ばれ親しまれていましたが、この高尾山トレインは広告電車であるものの、リバイバル塗装車(公式の文書にもグリーン車の2000系をベースにした旨の記述が有り)とも言えます。

車体のフルラッピングで大きく印象を変えた8713F。車体修繕工事・10両貫通化改造は比較的早めの20147月に施工されましたが、VVVFインバーター制御装置の更新は20227月現在も行われておらず、登場以来のGTOサイリスタを維持しており発車・停止時には独特の大きな磁励音を耳にする事が出来ます。

2017年には、第10回東京屋外広告コンクールの「建築物及び周囲の景観と調和の取れているもの」「デザインが優れ、人々に親しみを感じさせるもの」「関係法令に適合しているもの」を基準に選定される第4部門(車体利用広告)にて107作品の内から最優秀賞の東京都知事賞を受賞しています。これは大手私鉄では初の事例となりました。なお、高尾山トレインのベースになった2000系列を始めとする京王線系統のグリーン車は、原則特急・急行運用には入らず各駅停車専用の位置付け(初代5000系の車両不足時にアイボリー+臙脂色の帯に塗装変更され運用された実績はあります)でした。

こちらが元になったグリーン車の一系列である2010系デハ2015号車。2000系列は架線電圧の引き上げを見据えて1956年に登場した京王線初の高性能車ですが、2010系は経済性重視で付随車を挟むことを想定して1959年から製造され、主に戦前製の14m車両を付随車化して編成を組み、異様な凸凹編成は名物と化していました(1968年までにサハ新造と他形式からの改造編入で解消)。塗装の色合いは時代によって変化しており、1950年代まではダークグリーン、1956年登場の2700系からライトグリーンになり、1965年頃から更に明るいスタンリットライトグリーンと称する緑になりました。19841118日の2010系引退で完全に消滅しています。

車内設備は通常の修繕車と特に変わるところは無く掲出している広告物も登場から暫くの間、高尾山関連の物で統一されていた時期もありましたが、他編成と同じ扱いになりました。

ステンレス車体と色帯で統一され、全体塗装車が消滅した京王線の中は一際目立つ存在ですが、今後とも末長く運用されることを願いたいですね。筆者個人の欲を言えば、900030番台でアイボリーホワイト+臙脂色の細帯と井の頭線1000系後期車のグリーン車再現を強く希望します。

 

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廃車が開始された西武新2000系

2022年07月06日 | 西武鉄道

1988年に登場し、西武鉄道通勤車の4扉化を推し進め広範囲に渡り運用されている新2000系ですが、明確な置き換え計画は打ち出されておらず、今しばらくの安定した活躍が見込まれると思われました。しかし2021112日、池袋線の2063Fが新宿線の2411Fと連結の上で横瀬に回送され、VVVF試験車2097F以来編成単位での廃車が発生することになりました。その後は主力として活躍する新宿線所属車の方から多数の廃車が出ており、勢力が減少しています。

車体の大規模リニューアルは施工されていないものの、行先表示のフルカラー化、集電装置のシングルアーム化で大分印象が変化した新2000系。後期型は池袋線を中心に配置されていますが、新宿線にも少数ながら在籍しており、扉の開閉動作で判別出来ます。

8両+2両の10両編成を組む池袋線の新2000系。新宿線とは異なり、池袋線では連結位置が常に固定されており下り(飯能方面)列車では常に制御電動車が先頭に立つため、2基で前パンタの勇壮なスタイルを見ることが出来ます。

新宿線系統では8+2、6+4の10両、4+4、2+6の8両など各編成を組み合わせで長編成を組む為、比較的多く見られる先頭車同士の連結シーン。固定編成化が進むとこうした場面も珍しくなりそうです。

車内設備はドアガラスが初期車と同じ寸法に戻りましたが、戸閉機構が旧来の床置式から直動式に改められ、動作が変化した他、開閉ユニットを上部に移したため、鴨居部の造作が初期車・中期車とは異なります。40000系増備に伴い遂に廃車が開始された新2000系ですが、今後は経年が浅い後期車やリニューアル車なども走行機器が界磁チョッパ制御のままである事を考えると、安泰とは言えないかも知れません。

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設備見直しで更にグレードを高めた西武鉄道30000系(7次車以降)

2022年07月04日 | 西武鉄道

長年の主力だった新101系・301系の代替の為製造され、現代の西武鉄道の顔として運用されている30000系は8両と2両を中心に増備が進められ、支線区での運用を視野に入れた6両編成3本の製造も計画されていました。しかし計画見直しにより2013年度増備の7次車から10両固定編成が登場し、このグループから車内設備の設計と搭載する走行機器の一部変更が実施され初期車とは差異が生じています。初期の計画では8両編成12本、6両編成3本、2両編成3本の120両を増備する旨を発表していましたが、最終的には10両編成6本、8両編成18本、2両編成6本の合計216両の製造になりました。

2014年度増備の30103F。10両固定編成なので他編成を連結する事が無くなり、自動分併装置が省略されました。この編成は8次車に区分され、このグループから正面のコーポレートロゴを廃止し側面ロゴを西武鉄道表記に改めています。撮影当時は内容までは確認出来ませんでしたが、戸袋部に何らかのラッピング広告が施されていました。

2015年増備の9次車30105編成。2013年度増備車に準じています。先述の通り、主制御装置の型式が6次車までのVFI-HR1820A2群、ユニット方式の電動車に搭載)・VFI-HR1420R1群、単独の電動車に搭載)からVFI-HR2820R2群)・VFI-HR1421B1群)に変更されている他、主電動機も通常の三相誘導電動機であるEFO-K60HS32534-15RB)を全密閉型TFO-K60S32532-04RB)としています。

車内設備は荷物棚を5cm下げ金属菅構成から強化ガラスを使用した物になり、ガラス製妻面貫通扉に描かれている衝突防止イラストも変更、また優先席部の座席モケットはより色が濃い物に改められました。車内照明は新造時よりLED式を採用しています。

車内案内表示は17インチ画面になり、三菱電機セサミクロになりました。また乗客の目に見えない部分の変化として、戸閉装置が富士電機システムズのリニアモーター式からナブテスコ製の「Rock⭐︎Star」に変更され、扉の動作音が大幅に低減しています。

バリエーションに乏しいかと思いきや、初期車と後期車を細かく分類するとロゴマークの有無やグラデーションの微細な変更、搭載機器の違いなど意外と変化していますね。

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運命が分かれた都営10-300形・1次車

2022年07月01日 | 首都圏の地下鉄

都営新宿線の初代車両である10-000形の置き換え用とATC装置・列車無線更新を控えてJR東日本のE231系をベースに開発され2005年より営業運転を開始した10-3001次車ですが、新宿線の全列車10両編成化に伴い8両編成のまま運用されていた864両は6次車で置き換えることになり順次廃車になる事が決定しました。定期運用から離脱した編成は京王電鉄の若葉台車両基地から解体の為に搬出されていますが、最古の編成でも17年という短期間で廃車にされることになってしまいました。増結用の中間車を新造して10両編成化した4編成40両は引き続き使用される見込みですが、同一形式内で編成により明暗を分けた形になります。

2010年度に輸送力増強の為、新製した中間車を組み込んで10両化された10-470F。8両との識別のため非常用貫通扉に10CARSのステッカーが貼られています。この仕様の編成は10-45010-480Fの僅か4編成という少数派です。この時点でもう少し10両編成運用が増加していて、増結が施工されていればと考えると何とも勿体無いですね。

8両で残存していた10-400F。この編成は2022527日に若葉台へ送り込まれ同日中に廃車となりました。614日には主要な部品撤去と車体の切断が行われ解体場に向けて搬出されています。10-000形の経年が浅い中間車を活用すべく先頭車として新造された10-300R形は10年にも満たないまま廃車にされた事で話題になりましたが、完全新造の10-300形1次車も17年余りの短い車生を終える事になりました。

E231系との共通部材が各所に見受けられる車内設備。「シンプルかつモダン」をキーワードにグリーン系の配色で纏められています。なお、写真は10両編成のもので、ドア付近の警戒色化は増結する新造中間車に合わせて施行されました。

車内案内表示器はLED1行表示で、造作はE231系と同様ながらスクロール表示可能とし、全区間で次停車駅と乗り換え案内を実施する一方で自動放送装置に関しては京王線には対応せず都営新宿線内のみ使用になっています。10-3003次車からは対応するようになったので、1次車104編成も続投するなら早期の改修を願いたいですね。

京王線に合わせた特殊な軌間(1372mm)に対応する走行機器が災いしたのか、譲渡先も無く8両全車が解体処分になってしまいますが、車齢もサービス面も現代の水準を満たしているので、やはり残念なことです。

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