裁判官弾劾裁判所の岡口罷免判決にも見るべき点はあった(その3)。
最高裁岡口第二次分限裁判決定の事実認定も必ずしも支持しなかった。
最高裁決定は全員一致で、刑事事件投稿を「閲覧者の性的好奇心に訴え掛けて興味本位で強盗殺人及び強盗強姦未遂事件についての判決を閲覧するよう誘導しようとする投稿」であったとした。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89658
(写真)しかし、裁判官弾劾裁判所は、そうとは言えないとした。岡口さんは変態裁判官と誤解されたのだという見方は、私も同意見である。これが常識的な認定だろう。
性的好奇心に訴える文書図画がネット上に溢れている現代、そんな目的で難解な判決文を読む輩がいるとは思えない。
半世紀前の人気テレビ番組「ウィークエンダー」の事件再現ドラマや、週刊新潮の「黒い報告書」等はこれに近いが、それでも判決文は読まないだろう。
判例となる可能性があるものまでも含めて、性犯罪の判決を一律にウェブ掲載対象外としている最高裁の基準自体に疑問を抱く。東京高裁の担当裁判官たちも、まさか対象外だとは思わないで掲載したのだろう。
裁判官弾劾裁判所の岡口罷免判決にも見るべき点はあった(その2)。
最高裁岡口第一次分限裁判決定の事実認定を覆したのだ。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88055
(写真)上記判決の要旨の抜粋
つまり、犬事件投稿が「当該訴訟の原告が訴えを提起したことが不当であるとする一方的な評価を不特定多数の閲覧者に公然と伝えるものであった。」という最高裁全員一致の決定の事実認定は、大半が法律家ではない国会議員から見ても、いかにも無理があったということである。とても恥ずかしい。
実は先月の裁判官弾劾裁判所の岡口罷免判決にも見るべき点はあった。
裁判官も、国会・行政・司法府内部に対する批判は自由であり「尊重すべきである」と述べた部分だ(写真)。
これは、裁判官の立法に対する批判は三権分立に反するから懲戒理由になり得るなどという暴論を展開した最高裁「寺西分限決定」の判断を覆すものである。https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52233
「寺西分限決定」は当時の最高裁裁判官10対5の多数意見で戒告とした。多数意見に与した裁判官たちは真摯に反省してほしいと、当時の寺西弁護団の一員として思う。
おかげで、最高裁事務総局を批判する私の本も安心して出版することができた。
見えづらい家庭内…DV、虐待見抜けるか
家裁の人員体制に課題(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240517/k00/00m/040/262000c
現場の一審裁判官が心配しているのは、裁判官・調査官等の配置が元々手薄な家裁(本庁・支部・出張所)が、新たに認められた親権者変更申立事件でパンクしてしまうのではないかという事だ。
最高裁は、これまでも当然の予算要求をしようとしてこなかったので、とても心配だ。
もしも、さしたる増員もせず、地裁からのコンバートや兼務、家事調停官(弁護士の非常勤裁判官)で賄おうなどど考えているとしたら、過重負担に抗議しての退官がこれまで以上に増え、裁判所全体が崩壊の危機に瀕することになりかねない。
わしは知らんけど。
昨日の問題の解答。
高裁の裁判官の一部は、実は地裁の裁判官である。
(写真)宮崎地裁の裁判官配置表(部分)
驚くべき人事配置だ。昨日の福岡高裁宮崎支部の裁判官配置表と見比べてほしい。
一審と二審が同じ裁判官というわけにはいかないので、宮崎地裁本庁の判決に対する控訴事件は福岡高裁宮崎支部専属の裁判官が担当し、鹿児島地裁など他の庁の判決に対する控訴事件は、宮崎地裁本庁の裁判官が高裁判事職務代行として担当しているという。
そこまでして、宮崎に配置する裁判官の人数を節約しなければならないのか。
私が任官した当時は「東京高裁判事職務代行」の東京地裁判事という辞令を受けた。当時は正式な東京高裁判事になるには18年の法曹経験が必要という内部基準があり、それは東京地裁の最も期が若い部総括よりも期が上でなければならないからと説明された。私は弁護士歴16年だったため、2年足りないとされた。
裁判所法上は、10年の判事補・弁護士経験で判事になれば高裁判事の資格があるのだから、そのような内部基準もおかしかった(ちなみに、私の任官の翌年に撤廃された。)と思うけれども、同じ裁判官が地裁と高裁を兼ねるのは、どう見てもおかしいだろう。
鹿児島の弁護士が黙っているのは、案外、宮崎の弁護士以外には、このような兼務をしている事に気づきにくいからかも知れない。
裁判所オンブズマンより出題。
(写真)これは福岡高裁宮崎支部の裁判官の配置表であり、上が民事部、下が刑事部。
(問題)この高裁支部特有の裁判官の配置上の問題点は何か。
(ヒント)宮崎地裁の裁判官の配置表を参照。
https://www.courts.go.jp/miyazaki/saiban/tanto/tiho/index.html
紀藤正樹弁護士、前澤友作氏のメタ社提訴の損害賠償請求額「1円」に見解
「残念。1億にしてほしかった」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c6242c1363fb8445aca53cf701c2018ea227a63a
実は私も同じ事を考えていました。
私の本が出版社に入荷したようで、いよいよ明日以降、順次配本される。
たまたま今朝の新聞で、オスプレイの相次ぐ墜落事故後の飛行再開の記事を読んでいて、気づいた誤記を訂正させていただく。
オスプレイの値段は約二千億円だと聞いた記憶だったので、そのように書いたが、現時点では、一機当たり約二百億円となっているようだ。
したがって、裁判所予算約三千億円は、オスプレイ「一機半」分ではなく「一五機」分という計算になる。
(参考)
17機を3600億円で買った自衛隊のオスプレイは大活躍してますか? (Yahoo!知恵袋)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13271206593
古来、論旨の大勢に影響のない些細な誤りを、まるで鬼の首を取ったように針小棒大に揚げ足取りの材料にして、全体を「捏造」だと攻撃する輩が絶えないので、早めに訂正させていただくことにした。
(写真)この頁の最後の一文を次のとおり訂正します。
(誤)約二千億 →(正)約二百億
(誤)1機半分 →(正)15機分
昨夜のNHK番組から。
「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」
映像の世紀バタフライエフェクト
https://www.nhk.jp/p/butterfly/ts/9N81M92LXV/episode/te/7PY51N157R/
早くから黒人差別に対するプロテスト・ソングを歌っていた歌手たちの勇気に感動した。
特に、ボブ・ディランの偉大さは、よく分かった。私が生まれる前から歌で抗議していたのだから。ノーベル文学賞は遅きに失したかも知れない。
5月9日の名古屋地裁判決(剣持亮裁判長)に「あっぱれ!」だ。
シリア人男性の難民不認定、名古屋地裁が取り消し命じる 全国で初(中日新聞Web)
https://www.chunichi.co.jp/article/896845
一種の「良心的兵役拒否」を国際的に認めたとも評価できるのではないか。
シリア難民では初というのも驚き。