青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

思い出は美し過ぎて

2011年01月31日 20時00分00秒 | 日常

朝7時に小布施のスマートICを降り、まず目指したのは桜沢駅。
去年の1月もこっから撮り始めたっけ。
普段の運用ではここで2000系同士が交換するので、この時間に既に先客が2名。
しかしこの日はマルーンのA編成がイベント列車で屋代線に入線のため、日比谷車に差し替え。
先客のガッカリ感が伝わる中、まあそれはそれで…と言う感じでまずは一枚。
朝の凛とした空気、まだ明け切らぬ桜沢をB特急長野行きD編成が通過。


返しは定番の夜間瀬川橋梁で。
ここは有名ポイントなんで、橋の湯田中寄りに十数人の同業者アリ。
ポイント的には広いのでゆったり構えられますが、去年はここですら撮ってる人間はいなかったんだよな。
そう言う意味で、人の多さが終焉の近さを感じさせてくれます。
定番なんでを奇を衒わずに、飯縄山をバックに夜間瀬川を渡る2000系をセオリー通りに。
朝の光と雪の河原にリンゴ色が輝いて見えました。


イベント列車で屋代線に入線したマルーンA編成を綿内~井上間のストレートで。
屋代線は撮った事なかったんでポイントが掴めず、ウロウロしているうちに通過時間になってしまった。
基本的に街中を走ってるんで、自分の好きな引きの絵が撮りづらかったんですよねえ。
イベント列車らしく、臨時幕を下げて疾走するA編成をカブリツキ連写撮り。

 

イベント列車を追いかけて須坂駅へ。
入線したホームの横には、既に鬼籍に入って久しいOSカー。
ともに長野電鉄栄光の時代を駆けた生え抜き車両達ですが、
地方私鉄でも、車両を新造する体力があった時代があったって事なんだろうなあ。
特急列車は日中は須坂で交換するダイヤが組まれる事が多いんですけど、
ゆけむり号を真ん中に挟んで、A特急のリンゴ色、そしてイベント列車のマルーンの新旧の並びが実現。
長電の看板である特急車のバトンを引き継ぐように、ゆけむり号が須坂を発車して行きました。


午後は再び夜間瀬界隈へ。
夜間瀬手前からは、左手に高社山を見ながらリンゴ畑の中をくねくねと湯田中へ向けて上って行きます。
すっかり雪に埋もれたリンゴ畑では、枯れ枝の剪定をする農家の方が仕事をしておりました。
しかし狭い農道の小踏切に、私含めバズーカ砲持って10名以上が待機する光景は異様(笑)。
農家の人もその異様さを感じ取ったのか、列車の通過時には手を休めて一緒に通過を見守っている様子でしたが、
良く見たら、農家の人のユニフォームもD編成と同じリンゴ色!
おそろいのリンゴたちってか。


長野市内と比べて、信州中野から先は標高も上がるせいか積雪量も一段と深くなって来る感じがします。
信州中野から湯田中の間で、唯一の交換駅である信濃竹原へ進入して来るD編成をワンカット。
静かな駅なんで、急勾配を車輪を軋ませながらキイキイと下って来る音が、遠くの方からも良く聞こえてくる。
この駅は駅舎が渋くて好きな駅なんで良く撮りに来るんですが、駅横の木造の農業倉庫もポイント高いですな。


イベント列車から解放されたA編成は、午後遅くなってからB特急の運用に戻って来ました。
北志賀高原へ向かう国道脇から俯瞰気味に狙ってみましたが、初めてのポイントの割にまあまあの構図かなと。
ちなみに列車の背後の橋が夜間瀬川橋梁になります。
日は既に山に落ち、寒空の下の雪景色とマルーンの取り合わせは、絵的な華やかさはないがモノトーンの趣。


すっかり夜の帳が降りた信濃竹原へ再び。
かつては駅員もおり貨物も取り扱った駅ですが、無人化されて久しく、駅舎も何年か前に封鎖されてしまいました。
古い木造駅舎と白ペンキでホーロー板に書き連ねた駅名板が印象的です。
おそらく開業当時からの年代物の駅舎が残っているのが長野電鉄の魅力の一つだったりしますねえ。
来月のダイヤ改正で、信州中野~湯田中間は各駅停車だったB特急も、同区間を通過する事になりました。
この駅に特急車が止まるのも、残りあと僅かの時間だけ。
暗く閉じられた駅舎が、リンゴ編成から漏れる光で少しだけ明るくなりました。


終着駅の湯田中駅に佇むD編成。
白熱球の柔らかい光が灯る旧ホーム側には、未だに「木島長野屋代方面」と書いてあるんだね。
(木島線は平成14年に廃止されてしまったのですが)
湯田中駅に列車が到着すると鳴り響く「美わしの志賀高原」は、昭和32年作曲。
同年に、この曲に乗って華々しくデビューしたのが長電2000系でした。
長野電鉄が社運を賭けた志賀高原の観光開発への意気込みが伺えます。
なんせ作曲は古賀政男ですからねえ。
毎日が「思い出のメロディー」状態の湯田中駅、個人的にも昭和レトロ全開で大好きなんだよなあ(笑)。


「美わしの志賀高原」も「私をスキーに連れてって」も遠い昔の話。
長野オリンピックですら、もう14年も前の話になりました。
満員のスキー客や温泉客を乗せて、半世紀に亘って善光寺平を走り続けた長野電鉄の看板車両。
2000系は、間違いなく信州のトップスターでありました。
引退を間近に控え、湯田中駅前に瞬くイルミネーションに包まれて、その栄光の日々を噛み締めている事でしょう。

♪思い出は高原の ヒュッテに咲いた 氷の華さえ ロマンスの華
♪粉雪のあの丘越える スキーリフトに 輝く若さ
♪ああ 美わしの志賀高原

(「美わしの志賀高原」 作曲 古賀政男 作詞 西沢 爽)
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スノーファイター

2011年01月30日 09時13分47秒 | 日常

(画像:坂路調教)

去年も1月の最終週に長野へ行って長野電鉄の2000系を撮ったのだが、今年も去年と同じ週に信州行と相成りました。ハギーさんのために一肌脱いであげようかと思ったのだが、氏が真夜中の軽井沢に落とされるのに同意しなかったため別行動となりました(笑)。明け方4時くらいに碓氷軽井沢IC通過したけどマイナス5℃くらいだったぞ。耐えられない条件じゃないと思うのだが。こちとら朝7時にマイナス10℃の中雪の上で写真撮ってたっつーのにw


平成23年2月ダイヤ改正にてJR東日本から導入した旧成田エクスプレス用の253系に置き換えられ、A編成D編成とも運用を外されてしまうとの事で、いよいよ長年に亘り長電の特急車として君臨していた2000系にも別れの時がやって来ました。信州方面にドライブに行く度に何となく撮り始めて、いつしかファンになってしまった思い入れのある車両。前面は湘南窓の2枚窓、車体に並ぶ「田」型の窓枠、志賀高原を駆ける鹿のヘッドマークに昭和的な雰囲気を残す印象的な名車です。引退の報に接し残念ではあるのですが、数えれば製造から半世紀を経過した車両ですから「ご苦労さま」と言う事なんでしょうね。今日は朝から晩までずーっと追っかけて、一応後悔のないように撮り納めて来ました。が、画像の整理がおっつかない程撮ってしまったので画像は明日以降のお楽しみ…と言っても、よく考えたらここの読者って「別に鉄道なんか興味ない」って人が大半のような気がしますがw

とりあえず心配されたスタッドレスの劣化具合なのだが、想像以上に普通にグリップしてくれたので一安心。それでもタイヤの山は確実に減っているので来年交換しなきゃならんのは変わらないんだが…撮影地なんて除雪された道から撮れるとこなんてほとんどない訳ですから、未除雪のほっそい農道だったり、ヒザ下まで埋まっちゃうような除雪してない河原に強引に突っ込んだり(笑)したのですが、不自然な挙動になったりもせず安心感がありました。さすが天下の鳩山印、ブリヂストンのブリザックって事ですか。世の中の一般とは違う意味でザック神と申し上げたい。


帰りは雪が強く降り出して上信越道が須坂長野東~上越JCTまでチェーン規制だったんだけど、一応規制速度で走ってる分には全然無問題でした。ただ、眠気+疲れに加え雪で白線が消えた夜の高速ってのは慣れてないから結構怖いもんがあるな。ソロソロ走りの横を福山通運の25tトラックが豪快にぶち抜いて行くと、巻き上げられた雪煙りで前が見えなくなって余計におっかない。そう言えば「雪はね」って免許点数の減点項目じゃなかったか?


最終的には雪が強まりチェーン規制は八風山TN~上越JCTまで伸びた。上信越だとチェーン規制はいつも信州中野から北なので、やっぱ昨夜の寒波は結構厳しいもんがあったらしい。途中諦めて東部湯の丸SAで仮眠のつもりが4時間くらい爆睡しちまったのはご愛嬌(笑)。起きたら深夜2時で気温がマイナス5℃、危うく凍死するとこだったぞw
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あめだすまにあ

2011年01月26日 23時05分35秒 | 日常
毎日寒い日が続いておりますな…と言えば月並みな書き出しですが、人よりは天気を気にする人間なものですから、個人的にはアメダスを見たりするのが好きです。特にカメラを持つようになってからは、週末のお出掛け予定や気温の状況、天気図を見て遠征方向の気象状況を考えたり、雲量とか湿度で空気の透明感を考えたり、日照時間で光量を読んだり、日の出日の入りの時間で光線の角度を読んではあーでもないこーでもないと構図を練ったりする。積雪深と気温で行程内の路面状況も考えたりしないといけませんしね。
この時期は基本的には「積雪深対決・酢ヶ湯VS津南(または十日町)」がベストバウトで、2番目が「低気温対決・美深VS陸別」あたりでしょうか。以前は誕生日に合わせて北海道に「バナ釘ツアー」とかやってたのが懐かしいです。まあバナナで釘は打てたと言う事になっているのですが(笑)、足寄とか陸別みたいな突き抜けて寒い冬の北海道ってのはいいよね。都会の中途半端な寒さの方が身に堪えますですよ。

てな感じで日本全国のアメダスをツラツラ見てて気づいたのだが、北海道の足寄、陸別、美深あたりとタメを張る場所が本州にもあるんだね。あ、富士山山頂ってのはジョーカーなんでナシで(笑)。その場所っつーのが長野県の菅平でして、標高1253mと言う地理的に恵まれた点はあるものの同程度の標高にある奥日光とかに比べると圧倒的に寒いんだよね。本日午前6時の気温が-21.7℃ですから富士山山頂(ちなみに本日午前6時の気温が-25.3℃)とそう変わらないですし、陸別・足寄が本気で叩き出す数値と比べても遜色ないんですよね。以前高速が休日1000円じゃなかった頃は上田から長野まで菅平経由でよくショートカットしたもんですが、そんなに気温が下がる場所だなんて知りませんでしたよ。菅平って別に冬も通行止めにもならんしなあ。

何気に北海道レベルの「ホンキの冬」を体験できる場所ってのがそんなに遠くない場所にあったんですねえ。
だからって行ってみようとも思わないけどw
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ゼンノココロデ

2011年01月23日 21時55分06秒 | 日常

(画像:旧天城隧道)

と言う訳で週末は伊豆の河津まで一泊で行って来た。河津と言えばあと二週間くらいすれば河津桜のシーズンが始まるんで待っても良かったのだが、まあ小さい子供連れなんで空いている時期の方がいいでしょう。普段は東伊豆方面って小田厚経由西湘バイパスの石橋出口からひたすらR135を南下と言うルートなんだけど、箱根新道が無料だし伊豆スカイラインが全線950円→200円の社会実験中なんで箱根峠から伊豆高原までワープ出来るのがありがたいっす。箱根から伊豆スカ方面の尾根道は雪が残ってたりして、今年の冬の寒さが伺いしれますわな。帰りに旧道の天城トンネルとか通ってみたのですが、トンネルの中で天井からしたたる水が凍ってましたからねえ。

 

特に今更観光って事もないような伊豆箱根方面なんで、ウダウダと遅めの出だしから早々に宿にチェックイン。今回は河津から七滝方面に15分ほど入ってった「天城温泉・禅の湯」と言うお宿で、なんかネットサーフィンしてたら行き当たった個人のブログで見付けたんだよね。元々古いユースホステルだったものを改装して昨年新規オープンしたそうな。宿の名前からも分かるように「慈照院」と言う禅寺の中にあって、宿の背後は墓地である。宿のHPを見ると座禅体験とかも出来るらしくちょっとご興味。座禅なんて耕雲館で大学一年の時にやって以来だぜ!と駒大限定ネタを(笑)。

 

改装後もユースホステルとしての形態は残しているようですが、値段の割には館内はきれいだし、温泉は敷地内に掘削した源泉100%の掛け流しと贅沢なもの。昔に新冠(北海道)のユースホステルに一回泊まった事あるけど、ユースって相部屋+粗末な食事って感じであんまりイメージ良くなかったんですけどね。まあ新冠のユースは四季報とかブックとか優駿とか競馬関係の本が揃いまくってて退屈はしなかったけど(笑)。
特筆すべきはホスピタリティ溢れるおもてなしなんでしょうねえ。子供を連れているとあれやこれやと制約は付くのだが、小さい子連れ家族向けには貸切の家族風呂も用意されているので気兼ねなく子供を温泉に入らさせてやれたし、頼まずとも食事も別室を用意してくれるあたり大きい旅館やホテルにはない家庭的な心配りの良さと言うか…お世話してくれた主人の娘さんらしき人も4歳と1歳の子持ちらしく、何かにつけ子供の事を気に掛けてくれるのでとてもありがたかったですよ。


食事も禅寺由来の料理を基礎にしつつ手の込んだ創作料理?のようなもので、盛り付けもきれいで美味しかったっす。精進料理がベースだからそんなこってりしたものはないんで、オプションで丸々一匹のキンメダイの煮付けとか付けてしまったのだが正直でかすぎて食い切れず残してしまったのを後悔している(笑)。これで親子3人キジ2枚でお釣りがくるのだからコストパフォーマンスもいい宿なんじゃないかと…

ゼンノココロのおもてなし。
ヨメさんの評価も非常に高く、伊豆の常宿になりそうな予感。
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煮詰まる睦月

2011年01月21日 23時40分06秒 | 日常

(冬の波頭@伊豆稲取~片瀬白田)


スタッドレスを装着したと言うのに、なぜか週末は伊豆へ。
スタッドレスの意味ねー(笑)。

まあ先週も休出とかしててろくすっぽ休みがなかったし、その間の家事とか子供の世話とか嫁さん任せにしてしまったし、家族サービスってヤツでしょうか。休みの日に家に居ても結局子供の世話ですから、せめてそれなら場所を変えてと言うのが正直なところ。場所は伊豆だろうと箱根だろうとどこでも良かったんですけどね。子供連れであんまり寒い所に行くのも何だし伊豆あたりが無難かなと。

なんか最近変な夢ばかり見てて精神的に疲れてるような気がするし、今日は朝から電車の中で官能小説を音読する変態紳士に出会ってしまうし(笑)、色々と煮詰まり感が感じられますのでね。気分転換ってのも必要でしょう。つーか、そう言う行為ってのも公然猥褻の一種になるのだろうか?こっちは中学生の時期からスポーツ新聞読んでて慣れてるけどさ。ってそう言う問題じゃないか。

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