(承前)
今回の上京で達成したかったことのひとつに
「大橋鉄郎作品のハシゴ」
がありました。
新人の登竜門として知られる「VOCA(ヴォーカ)展」に、女性がピースサインを出している絵画(イラストレーション)を出品した札幌の若手大橋鉄郎さんは、別のグループ展に、もうひとつのシリーズであるペーパークラフトを出しているので、これは見に行かなくては!
…と思ったのです。
冒頭画像は、両シリーズが . . . 本文を読む
札幌のフォトグラファーで、最近はインストーラーとしてあちこちのギャラリーで搬入の手伝いなどにも忙しい山岸靖司さんの個展。
1998年の第1回個展から見ている自分としては、なかなか感慨深くなるような、これまでの山岸さんの活動の集大成的な側面をあわせもった展示内容だと感じました。
というのは、山岸さんは生業こそ写真家ですが、アートを発表する際には、ストレートフォトではなく、写真を素材にした作品 . . . 本文を読む
江別を拠点に活動している秋元さなえさんの個展の会場はずっと、札幌市北区のななめ通り沿いにあるテンポラリースペースでした。
今回のタイトルになっている「サイアノタイプ」は日光写真の意味。
布に特殊な感光液を塗布し、昨年末から今年初めにかけて、テンポラリースペースの中にさしこんでくる陽光をとらえた作品を、会場内(1階に2枚、2階に2枚)につり下げています。
冒頭の作品は昨年12月30日に制作し . . . 本文を読む
苫小牧市美術博物館の名物「中庭展示」。
札幌国際芸術祭の関連展示で、おそらく最後まで行われているものです。
館の公式サイトに、とてもわかりやすい紹介が載っていたので、コピペいたします。
北海道胆振地方の地域性に根付いた表現活動に焦点を当てる本展では、発案者の奈良美智と飛生とびうアートコミュニティー(北海道白老町)の国松希根太、小助川裕康、奥山三彩からなる4人組のアーティスト・コレクティ . . . 本文を読む
(承前)
非常に精緻な幾何学的な立体作品をつくる伊賀信さんが、青木広宙さんとコラボレートした展覧会。
青木さんが、超小型のライトを透明なチューブの中で順番につけていくシステムを構築し、伊賀さんの作品の影が壁に大きく映し出されてうつろっていきます。
一昨年に札幌芸術文化交流プラザで艾沢詳子よもぎさわしょうこさんと組んで行った展示と、仕組みとしては同じですが、艾沢さんの作品が人間のような . . . 本文を読む
一般社団法人AISプランニングの「アーティスト・イン・スクール」事業で、札幌市北区の光陽小に昨年から通っていた佐竹真紀さんが、1日限りの発表をするというので、見に行ってきました。
佐竹さんは札幌の作家で、コマ撮りアニメーションの手法による作品が、VOCA展で入賞するなど高く評価されています。
こんな人が小学校に来るなんて、自分が子どもだったらわくわくします。
札幌におよそ200校 . . . 本文を読む
今回の、2月25日で閉幕した札幌国際芸術祭SIAF2024について小川秀明ディレクターは「100年前の札幌、100年後の札幌」なんていう言い方をしていましたが、とりわけ100年後=未来に関して言えば
気候変動
が、最大のテーマになっていたことは、多くの皆さんがすでに気づいていることと思います。
欧洲ではとりわけ強い危機感を抱かれているイシューですが、日本は昔から気象災害が多いということ . . . 本文を読む
長谷川哲さんは1946年生まれ、愛知拠点の、写真を素材とした現代美術の作家。
慶応大法学部の卒業で、アートは独学だということです。
北海道との縁は、97年の第26回現代日本美術展で「北海道立帯広美術館賞」を受賞し、作品「HOME」シリーズの1点が同館所蔵となったこと。
当時の学芸課長だった寺嶋さんが現在は後志管内ニセコ町の有島記念館長を務めていることを知った長谷川さんが、昨年、さっぽろ天 . . . 本文を読む
1942年、十勝管内広尾町生まれ、札幌在住の楢原武正さんは、2000年頃から毎年1月に、ギャラリー大通美術館の全館を使った個展を開いている。
さすがに巨大なインスタレーションは設営しなくなったものの、昨年は、レタリング(書き文字)の作品を大々的に展開して、おとずれた人の度肝を抜いた。
今年は、これまでのインスタレーションに用いたパーツを、それぞれ壁に掛けたものが中心 . . . 本文を読む
札幌の澁谷俊彦さんが毎年冬に場所を変えながら展開している「Snow Pallet」シリーズの17回目。
雪が降り積もる北海道の自然環境をたくみに利用しています。
雪それ自体に着色しているのではありません。円盤などに塗布した蛍光色を雪が反射しているのです。
以前は、板の下側に黄色や赤などを着彩して、その下に積もった雪の表面に色がほんのり映る―という作品もありました。
今回設置されているの . . . 本文を読む
鉄の彫刻や立体造形、インスタレーションといった分野で精力的に制作・発表を続けている石狩市の川上りえさんが、2023年夏にモエレ沼公園の園内で行ったプロジェクト。
初日に行ったにもかかわらず、紹介するのを失念していまして、申し訳ございません。
この日は好天で、市民参加のワークショップも行われていました。
モエレ沼公園の公式サイトから引用します。
本プロジェクトは木々の幹に塗布する青色に . . . 本文を読む
(承前)
さて、長々と書いてきた「ROOTS & ARTS しらおい」の記事もこれが最後となります。
胆振管内白老町への旅の記録は、もう少し続きますのでおつきあいくだされば幸いです。
これが「ROOTS & ARTS しらおい」で最後に訪れた場所で、個人的には、ほんとうに良かったと思いました。
これは常設展示作なので、もし「ROOTS & ARTS しらおい」が2024年以降も開かれ、 . . . 本文を読む
(承前)
白老シリーズも終盤。
久しぶりの記事になります。
虎杖浜駅から登別方向へ屋外写真を探しながら歩くこと十数分。
海岸沿いの道路は、アヨロ川を渡ると、上り坂になります。
坂の上の、左手にはホテルが建ち、右手には「ルーツ&アーツしらおい」の会場である「青峯山観音寺」が立っています。
「二重の塔」とでもいいたくなるような、独特の風格ある建築物です。
お堂の中に入ると、右手 . . . 本文を読む
札幌の古民家改造アトリエ「0地点」を拠点とする画家の堀江理人さんの個展。
コンビニエンスストアで夜勤のアルバイトをしていた際に、1日1枚ずつ制作したドローイング184枚(筆者が数えたので、違うかもしれない)が壁に並んでいます。
モチーフはすべて商品で、店頭風景などはありません。おもに菓子やパン、総菜などが横位置の同じ大きさの紙に描かれています。
コンビニ労働を主題にした芸術作品といえば、 . . . 本文を読む
(承前)
作品について、ルーツ&アーツしらおいの公式サイトには以下のような記述がありました。
今回、海を渡ってこの白老の海岸に漂着した巨きな流木を彫り、来年この場所で空に向かって柱をたてる予定だ。死と再生を繰り返す自然の循環の中にあるいのちの巡り、時の流れ、変容するプロセスそのものを制作を通して見つめてみたい。柱を介して天と地が結ばれ、自然と人間、あの世とこの世、過去と未来が交信してゆく。
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