北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■AKI TSUJI solo Exhibition “STONE TOOL” (2022年5月25~29日、札幌)

2022年07月28日 10時03分31秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 札幌を拠点に木のアクセサリーなどを作っている辻有希さんの個展。
 石器のフォルムに心ひかれてきたという辻さんが、それを模して作ったオブジェの数々を、特別にあつらえた箱の中に並べていました。
 箱の内側には、光を反射しないという特殊な黒い布が貼られていて、写真撮影は自由でしたが、露出が非常に難しかったです。
 
 
 今回の作品は「STONE TOOL」という一冊の作品集にまとめられて、300部限定で販売されていました。写真で見ても、やはり博物館で見かける打製石器のような迫力があります。
 
 これらの作品群が
「わあ、木なのに、まるで石そっくりだね。すごい」
で終わってしまうものであれば、別にどうということはありません。

 本の後書きには次のようにありました。


 木はそのままでいてとても美しいから、
 想いが入りすぎないよう、
 作為と無作為のあいだを漂いながら
 形作っていたいと願った。


 これはなかなか重要な問題をはらんでいるのではないでしょうか。

 西洋の伝統的な考え方だと「art」と「nature」は正反対の、対立する概念といえると思います。
 画家・美術家は自分の思った通りに作品をすべてコントロールすべきだし、できるというのが、前提になっているのではないでしょうか。

 しかし、西洋画ではかなりの程度まで作為が作品全体を貫徹できたとしても、木彫や陶芸の場合は、人為の及ばない部分が必ず出てきます。
 日本の美術では、その「作為が及ばない」ことにむしろ美を見いだす傾向が強いように思われます。


 なお、この本は、プロが撮影しており、もちろん作品が良いこともあって、造本も非常に美しいのですが、発行年月などの書誌的情報はもうちょっとあってもいいかなと感じました。
 もしこの本が数十年後、どこかの古書店や図書館の書庫から見つかったとき、ヒントが少なすぎて発見者が途方に暮れると思うのです。本体に印刷しなくても、挟み込んだしおりに記すという手段もあるので…。
(作者のサイトによると、本の在庫はまだあるようです)


2022年5月25日(水)~29日(日)正午~午後6時
CONTEXT-S (札幌市中央区南21西8)

□TSUJIAKI http://akitsuji.com/
https://tsujiaki.stores.jp/

□Instagram _aki_tsuji

過去の関連記事へのリンク
アトリエ Bee hive 展 2022

アトリエBeehive 展(2017)

紐解く時間 読む時を演出する作品展 (2016)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。