北海道美術ネット別館

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■「水の景(しらべ)」清野幸輝写真展 (5月28日まで)

2008年05月27日 23時58分56秒 | 展覧会の紹介-写真
 胆振管内白老町の清野さんの写真展。さまざまな水の表情をとらえた美しいカラー35枚がならんでいます。
 撮影地は、地元のポロト湖や、樽前ガロー、札幌のアシリベツの滝などです。

 会場のパネルによると、清野さんは1940年、歌志内生まれ。
 長く高校の教壇に立つとともに写真部の顧問をしていましたが、99年の高文連(高等学校文化連盟)の大会で講師に来た写真家岡本洋典さん(雨竜沼湿原の作品で著名)と出会い、岡本さんが主宰するNPMに入って本格的にカメラの道を歩み始めます。

 水の意外な表情をとらえる代表的な技法としてスローシャッターがあります。
 シャッター速度を遅くすると、絹糸が連なるような川面や、水面を流れる落ち葉の渦などが、おもしろい見え方をするのは、よく知られており、清野さんも「清楚清流」や、樽前ガローを撮った作品などで、この技法を活用しています。

 しかし、なにがなんでも遅くすればいいというものではないわけで、凍り始めた水面をうつした「真冬のメロディー」など、これ以外ないという絶妙のスピードだと思います。

 もうひとつ、清野さんの写真であらためて感じ入ったのが、本来は透明な水の持つさまざまな色彩です。
 時には紅葉を反射し、また時には、「紫の落陽」に見られるように、ラベンダー色に染まります。目の覚めるような、あざやかな黄緑色の作品もありました。白い不思議な文様が表面を覆っている1枚を見ると、たしかにこういう場面はときどき目撃するのですが、それをあえて撮影してみようとはなかなか思わないなあ…と感服します。

 ラティチュードの深さにおどろいた作品もありました。
 冬の湖に突き出た半島にカメラを向けた「湖畔冬景」は、手前にあって、まるで中村善策の絵のように画面を横断して引き締めている数本の枝が、真っ黒につぶれていませんし、奥の半島に積もった雪は白く飛んでいません。この露出は相当むつかしいものだと思います。

 先日の道新によると、清野さんは難病にかかり、重い機材を持つのがむつかしくなっているとのことですが、できれば今後もむりのない範囲で清新な水の表情を撮り続けてもらいたいものです。


08年5月23日(金)-28日(水)10:00-18:30
富士フイルムフォトサロン(中央区北3西3、札幌北三条ビル 地図A)

ウトナイ湖野生鳥獣保護センター(苫小牧市字植苗156-26)に巡回します。
=6月1日(日)-29日(日) 月曜閉館 午前9時-午後5時


□北海道Nature Photo Masters(NPM) http://h-npm.com/


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