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■寺井宣子mini・mini水彩展 (8月31日まで)

2008年08月31日 00時53分41秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 寺井さんは、道展会員の水彩画家。
 個展では、精緻なレースの模様を描いた絵を出品し、それが空調の風でひらひらとなびくなど、これほど「技巧」とか「装飾的であること」について意識的な水彩画家は道内にはいないのではないかと思われるのですが、今回は、技法的なものを前面に出した作品は少なく、オーソドックスな写実の風景画や花の絵が大半を占めています。
 会場も通例の時計台ギャラリーではなく、カルチャーセンターの生徒さんたちの展覧会と併催のかたちで、札幌市資料館でひらいています。

 とはいえ、冒頭の画像の右側手前「天の窓」のように、ブラッシングという技法を全面に用い、複雑な色の重なりを表現した作品もあります。モティーフは、パリの教会のステンドグラスです。
 ブラッシングは、金網で絵の具をこすって、飛沫を紙の上にちりばめるもので、仕上げのアクセントにはよく使われる技法ですが、寺井さんのように、異なる色で何度も繰り返して画面をつくる人はあまりいないと思います。


            

 一方で、ストレートな作品もあります。
 この画像は「再生」。
 雪の上に落ちたナナカマドの実。その大きさ、位置など、絶妙です。
 雪の原は一見何もないように見えて、針葉樹の葉など、こまかな要素の配置が、なんとはなしに構図を形成しています。
 生命の循環、命の永遠…。作者の心は、平凡な光景から、はるかなところへと飛んでいます。


 個人的な話になりますが、寺井さんにお会いしたのは、おそらく9年ぶりぐらいだと思います。「ひさしぶりに会えて、元気をもらった」とおっしゃっていただき、筆者にもうれしい再会でした。

 ほかの出品作は次の通り。
「凍る滝 層雲峡銀河の滝」
「妖精」
「春うらら」
「夕暮れ」
「神が佇む沼・秋」
「白い花」
「秋」石版画27版刷り
「生きる力」
「夏の実」
「愛」
「夏 富良野より旭岳」
「遠い日」
「翠の風 白山吹」
「天女の衣 層雲峡羽衣の滝」
「凛」
「神の佇む沼・夏 神仙沼」
「かわいい実」
「フラワーロード 富良野」
「涼」


08年8月26日(火)-31日(日)10:00-18:00(最終日-17:00) 
札幌市資料館(中央区大通西13 地図C


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