北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■吉田茂展 ビタミンB (2020年7月3~27日、札幌)

2020年07月25日 13時22分38秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 吉田茂さんは、今回の個展の会場となっているギャラリー・レタラのオーナーにして現代アートの作家であり、筆者は、札幌の現代美術シーンのレジェンド的存在のひとりだと、勝手に認定しています。
 1990年代、札幌の丸井今井百貨店が元気だったころ、現代アートを扱う「ギャラリークレオ」が店内にあってそこを仕切っていたのが吉田さんだとうかがっています。
 当時の丸井今井は、小樽の旧拓銀を改装してペテルブルク美術館をオープンさせたり、札幌で国際版画ビエンナーレを開いたりして、アートに関する事業を活発に展開していました。
 ギャラリーレタラが、田名網敬一個展などを開くことができるのも、吉田さんのかつての人脈によるものなのだと思います。

 さて、作家としてはこの20年近く、陶土を塗って、乾く際に生じるひび割れを見せる作品を手がけています。
 下の層と上の層で異なる土を塗るので、乾く速度などが異なり、無数のひび割れができます。
 しかし、これ自体は、作者が手を下すのではなく、おのずと生じてくるものです。
 したがって、会期の初めごろと終わりごろとでは、見た目がずいぶん違ってくるであろうということが推測されます。

 吉田さんの作品は「時間」という、作者以外の作り手の存在を明らかにするとともに、作品における「作為」とはいったい何かという問いをも、見る人に投げかけるものです。 
 しだいに変化している作品ゆえ、どの時点をもって「完成」とみなすかということさえ、自明ではありません。

 今回は黄色い帯が、ギャラリーの窓から壁にかけて内側をぐるりと1周しています。

 シンプルながら、見る人に問いかける作品であるといえそうです。


2020年7月3日(金)~27日(月)正午~午後6時(最終日~5時)、火曜休み
Gallery Retara(札幌市中央区北1西28 MOMAplace 3階 moma-place.jp )

関連記事へのリンク
防風林アートプロジェクト(2014)
吉田茂「洗濯物-いのちの連鎖」 ハルカヤマ藝術要塞 (2012)

※以下、画像なし
吉田茂個展 Synchronicity Series〔表裏の邂逅〕=2004
Northern Elements (2002)




・地下鉄東西線「円山公園駅」3番出口から約420メートル、徒歩6分
・同「西28丁目駅」3番出口から約530メートル、徒歩7分

・中央バスとジェイ・アール北海道バスの「円山第一鳥居」から約690メートル、徒歩9分
※札幌駅前、北1条西4丁目から、手稲方面行き、小樽・岩内方面行き都市間高速バスのすべての便が停車します


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。