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■建築家 井口健の世界 (2021年3月20日~4月4日、札幌)

2021年04月06日 19時09分51秒 | 音楽、舞台、映画、建築など
 3月27日に見ておきながら、紹介記事が会期中に間に合いませんでした。
 まことに申しわけありません。

 取り壊すかどうかで議論を呼んだ「北海道百年記念塔」の設計者、井口健さんの業績を紹介する展覧会です。
 かなりの部分は、小樽文学館での展示と重なっていますが、同館でもかなわなかった、当時の青焼きコピーの図面などをこの手でめくって見ることができたのは、貴重な経験でした。

 そして、なによりも特筆すべきなのは、冒頭画像に写っている模型です。
 アイヌ民族の慰霊・歴史に関する施設も、当初の構想に入っていたことが、はっきりわかります。
 予算不足を理由にこれらは削られてしまい、百年記念塔は、和人の開拓100年を祝うだけの、いわば単細胞な見方の施設としてとらえられるようになったきらいがあります。
 これは、井口さんとしても不本意だったことでしょう。

 

 2枚目の画像は百年記念塔の設計図面やアイデアスケッチが並んでいます。

 ほかにも「旅亭 あしり支笏湖」など他の代表作の図面なども展示されています。
 これは、国立公園内にある支笏湖の環境に、最大限に配慮しながら、和の空気感を出すべく挑んだ設計になっています。

 3枚目の画像は井口さんの手になる書画などで、これは昨年、小樽文学館でも展示されていました。

 また、今金の中学校や、宗谷管内猿払村の「インディギルカ号慰霊碑」などの写真パネルも、今回も陳列してありました。
 野外彫刻を紹介している当ブログとしては、これらも見に行きたいものです。



 井口健さんは1938年(昭和13年)、檜山管内今金町生まれ。
 57年に札幌工業高校建築家を卒業し、久米建築事務所札幌事務所に入ります。
 67年、北海道百年記念塔の公開設計競技に応募し、黒川紀章などをおさえて、最優秀に選ばれます。
 70年、井口健建築事務所を開設。74年に事務所を法人化し、株式会社井口健都市建築設計を設立、代表取締役に就任。2006年に閉鎖します。


2021年3月20日(土)~4月4日(日)午前11時~午後6時(最終日~5時)、火曜休み
GALLERY創(札幌市中央区南9西6 sou.agson.jp @GALLERY__SOU )

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