(これは2016年7月にステンドグラス館などについて書いた記事です。新しい記事として、2017年9月の似鳥美術館オープン以降の「小樽芸術村」について紹介したリンク先の記事を、まずお読みくださるようお願いします。2017年9月記)
すみません。
7月23日のオープン当日に行ってきたのに、ブログのアップが遅れておりました。
前にも書きましたが、連日20~40人が「ニトリ 小樽芸術村」「ニトリ 美術館」などのキーワードで検索してこのブログに来てくださるので、もしかしたらすごい行列が施設の前にできているのではないか…と危ぶんでいましたが、実際の混雑はそれほどでもありませんでした。
(ブログへのアクセスは、22日に、ニトリによる公式サイトがオープンしたため、若干減っております)
※2017年9月註。現在でもこの記事に多くのアクセスが続いています
1.概要
ニトリ 小樽芸術村の入り口は、小樽運河通沿いにあります。
ホテルふる川と出抜小路のちょうど真ん中あたり。
観光客の密度のもっとも高い一角といえそうな近辺です。
かんたんにおさらいすると、ニトリ小樽芸術村は、旧高橋倉庫(1923年=大正12年建築)を再利用した「ステンドグラス美術館」と旧荒田商会(1935年=昭和10年建築)を改装した「アール・ヌーヴォー館」の二つからなります。
さらに、隣接した旧三井銀行小樽支店を日本近代絵画美術館として来春オープン予定です。
入場料は一般700円、中高大生500円、小中学生無料と、良心的。
音声ガイドが300円で、入場料とあわせて1000円というのも、支払いしやすい設定だと思います。
ただし、筆者が行った当時は、アール・ヌーヴォー美術館の紹介音声は収録されていませんでした。
ステンドグラス美術館は暗いだろうなと思い、300円を払って音声ガイドを借りました。実際は、作品横のパネルが読めないほど暗いわけではなかったのですが、理解の助けになるので、借りて良かったと思いました。
2.アール・ヌーヴォー館
「ステンドグラス美術館」と「アール・ヌーヴォー館」は内部でつながっており、受付はおなじです。
入って、右手に受付があり、左手は、絵葉書などを売るミュージアムショップです。
受付を過ぎたら、まず右側の階段をのぼって「アール・ヌーヴォー館」へ。
階段の上につりさげられているシャンデリアは、コペンハーゲンの1930年モデル。白鳥がさまざまに羽を広げる優雅なデザインです。
2階に上ると、家具調度があり、その奥にアール・ヌーヴォーのガラス器が並んでいます。
エミール・ガレ、ドーム兄弟、ルネ・ラリック、さらにアルメリック・ワルター、ガブリエル・アージー・ルソーなどのコレクションです。
キノコを思わせるランプ類がきれいに輝きます。
左は、ガレの「白熊文花器」。右は「カモメ文コンポート」。
高度な技法をこらした1916~31年の作品です。
…とまあ、美しいコレクションですが、道立近代美術館や石狩美術館(現在は閉館)で見たことあるわ~という人もいるでしょう。
ニトリ小樽芸術村の真骨頂はここからです。
階段をおりて、いったん受付の近くまで戻り(もちろん受付から外へ出る必要はありません)、こんどは1階の廊下をまっすぐ進むと…。
3.ステンドグラス美術館
「ステンドグラス美術館」です。
大作が35点もあるんですよ(数え方によっては点数はもっと多くなりそうだが、とりあえず館の表記にしたがう)。
荘厳な光に、圧倒されます。
作品のほとんどは19世紀末から20世紀初頭にかけて英国で作られ、英国国教会の装飾として使われていたもの。
建物の改築と一緒に取り壊される運命にあったものを、ニトリの似鳥会長が購入して救ったものだそうです(北海道新聞による)。
したがって、「カンタベリー物語」(中世英国文学)に材を得たものが1点あるのをのぞけば、すべてキリスト教や聖書に関連した画像です。
よく知られた福音書の場面、聖母マリヤや聖者たち、「信仰」「希望」といった概念を絵にしたものなどさまざまです。
音声ガイドなどが懇切丁寧に説明してくれるので、予備知識がなくても鑑賞はできますが、多少は知っていたほうがより深く味わえるかもしれません。
「十字軍に遠征する聖ルイ」「天使の祈り」「悪魔を踏み敷く大天使聖ミカエル」「放蕩息子の帰還」といった題からも、聖書の豊かな物語世界を基にしていることがうかがえます。
ただ、イエス復活や十字架の場面はあるが、ピエタ(十字架降下)を題材にしたものが1枚もないなど、泰西名画と異なる面もあります。
中世的な色彩の、めずらしい作品もありました。
一部は1階と2階の吹き抜けになっていて、大作を展示するのにふさわしい空間となっています。
なお、館内は、ストロボを使わなければ写真撮影は自由です。
欧洲への海外旅行で、観光名所になっている教会などを訪ねても、内部は撮影禁止になっている場所が多いだけに(観光よりも信仰優先ですから、これは当然なのですが)、これはうれしいですね。
被写体がステンドグラスなので、露出時間などをかなりいじらない限り会場内の人物の顔など、はっきりとは写りませんし、現実的な措置だと思います。
4.一度は行く価値あり
この2館だけでも充実していますが、来春オープン予定の絵画館は建物も大きく、さらに見ごたえがアップすることが予想されます。
小樽芸術村に勤めるWさんによると「こんな絵も所蔵しているのか! と、驚きの連続です」とのことで、期待がいや増してきます。
外からはあまり大きな建物とは感じられませんが、見るのには1時間はみておいたほうがいいでしょう。筆者は1時間半かかりました。
今後、展示替えなどがあるかどうかわかりませんが、一度訪れて損はない施設だと思います。
JR小樽駅から約870メートル、徒歩11分。
なお、北海道中央バスの「高速おたる号」のうち北大経由便の一部が、8月21日までの期間限定で、小樽運河まで延伸されるそうです。
詳しくは同社のサイト(pdfファイル)をご覧ください。
また、専用の駐車場はないようです。
附近には、観光客が利用できる駐車場がいくつかあります。
□ニトリ小樽芸術村 http://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/
関連記事へのリンク
「ニトリ小樽芸術村」開設のお知らせについて
「小樽芸術村」開業は7月23日に
ニトリの美術館「小樽芸術村」、7月9日先行オープン
ニトリ、「小樽に美術館」 (追記あり)
すみません。
7月23日のオープン当日に行ってきたのに、ブログのアップが遅れておりました。
前にも書きましたが、連日20~40人が「ニトリ 小樽芸術村」「ニトリ 美術館」などのキーワードで検索してこのブログに来てくださるので、もしかしたらすごい行列が施設の前にできているのではないか…と危ぶんでいましたが、実際の混雑はそれほどでもありませんでした。
(ブログへのアクセスは、22日に、ニトリによる公式サイトがオープンしたため、若干減っております)
※2017年9月註。現在でもこの記事に多くのアクセスが続いています
1.概要
ニトリ 小樽芸術村の入り口は、小樽運河通沿いにあります。
ホテルふる川と出抜小路のちょうど真ん中あたり。
観光客の密度のもっとも高い一角といえそうな近辺です。
かんたんにおさらいすると、ニトリ小樽芸術村は、旧高橋倉庫(1923年=大正12年建築)を再利用した「ステンドグラス美術館」と旧荒田商会(1935年=昭和10年建築)を改装した「アール・ヌーヴォー館」の二つからなります。
さらに、隣接した旧三井銀行小樽支店を日本近代絵画美術館として来春オープン予定です。
入場料は一般700円、中高大生500円、小中学生無料と、良心的。
音声ガイドが300円で、入場料とあわせて1000円というのも、支払いしやすい設定だと思います。
ただし、筆者が行った当時は、アール・ヌーヴォー美術館の紹介音声は収録されていませんでした。
ステンドグラス美術館は暗いだろうなと思い、300円を払って音声ガイドを借りました。実際は、作品横のパネルが読めないほど暗いわけではなかったのですが、理解の助けになるので、借りて良かったと思いました。
2.アール・ヌーヴォー館
「ステンドグラス美術館」と「アール・ヌーヴォー館」は内部でつながっており、受付はおなじです。
入って、右手に受付があり、左手は、絵葉書などを売るミュージアムショップです。
受付を過ぎたら、まず右側の階段をのぼって「アール・ヌーヴォー館」へ。
階段の上につりさげられているシャンデリアは、コペンハーゲンの1930年モデル。白鳥がさまざまに羽を広げる優雅なデザインです。
2階に上ると、家具調度があり、その奥にアール・ヌーヴォーのガラス器が並んでいます。
エミール・ガレ、ドーム兄弟、ルネ・ラリック、さらにアルメリック・ワルター、ガブリエル・アージー・ルソーなどのコレクションです。
キノコを思わせるランプ類がきれいに輝きます。
左は、ガレの「白熊文花器」。右は「カモメ文コンポート」。
高度な技法をこらした1916~31年の作品です。
…とまあ、美しいコレクションですが、道立近代美術館や石狩美術館(現在は閉館)で見たことあるわ~という人もいるでしょう。
ニトリ小樽芸術村の真骨頂はここからです。
階段をおりて、いったん受付の近くまで戻り(もちろん受付から外へ出る必要はありません)、こんどは1階の廊下をまっすぐ進むと…。
3.ステンドグラス美術館
「ステンドグラス美術館」です。
大作が35点もあるんですよ(数え方によっては点数はもっと多くなりそうだが、とりあえず館の表記にしたがう)。
荘厳な光に、圧倒されます。
作品のほとんどは19世紀末から20世紀初頭にかけて英国で作られ、英国国教会の装飾として使われていたもの。
建物の改築と一緒に取り壊される運命にあったものを、ニトリの似鳥会長が購入して救ったものだそうです(北海道新聞による)。
したがって、「カンタベリー物語」(中世英国文学)に材を得たものが1点あるのをのぞけば、すべてキリスト教や聖書に関連した画像です。
よく知られた福音書の場面、聖母マリヤや聖者たち、「信仰」「希望」といった概念を絵にしたものなどさまざまです。
音声ガイドなどが懇切丁寧に説明してくれるので、予備知識がなくても鑑賞はできますが、多少は知っていたほうがより深く味わえるかもしれません。
「十字軍に遠征する聖ルイ」「天使の祈り」「悪魔を踏み敷く大天使聖ミカエル」「放蕩息子の帰還」といった題からも、聖書の豊かな物語世界を基にしていることがうかがえます。
ただ、イエス復活や十字架の場面はあるが、ピエタ(十字架降下)を題材にしたものが1枚もないなど、泰西名画と異なる面もあります。
中世的な色彩の、めずらしい作品もありました。
一部は1階と2階の吹き抜けになっていて、大作を展示するのにふさわしい空間となっています。
なお、館内は、ストロボを使わなければ写真撮影は自由です。
欧洲への海外旅行で、観光名所になっている教会などを訪ねても、内部は撮影禁止になっている場所が多いだけに(観光よりも信仰優先ですから、これは当然なのですが)、これはうれしいですね。
被写体がステンドグラスなので、露出時間などをかなりいじらない限り会場内の人物の顔など、はっきりとは写りませんし、現実的な措置だと思います。
4.一度は行く価値あり
この2館だけでも充実していますが、来春オープン予定の絵画館は建物も大きく、さらに見ごたえがアップすることが予想されます。
小樽芸術村に勤めるWさんによると「こんな絵も所蔵しているのか! と、驚きの連続です」とのことで、期待がいや増してきます。
外からはあまり大きな建物とは感じられませんが、見るのには1時間はみておいたほうがいいでしょう。筆者は1時間半かかりました。
今後、展示替えなどがあるかどうかわかりませんが、一度訪れて損はない施設だと思います。
JR小樽駅から約870メートル、徒歩11分。
なお、北海道中央バスの「高速おたる号」のうち北大経由便の一部が、8月21日までの期間限定で、小樽運河まで延伸されるそうです。
詳しくは同社のサイト(pdfファイル)をご覧ください。
また、専用の駐車場はないようです。
附近には、観光客が利用できる駐車場がいくつかあります。
□ニトリ小樽芸術村 http://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/
関連記事へのリンク
「ニトリ小樽芸術村」開設のお知らせについて
「小樽芸術村」開業は7月23日に
ニトリの美術館「小樽芸術村」、7月9日先行オープン
ニトリ、「小樽に美術館」 (追記あり)
きょうの機会しかなく、午後3時ごろに思い立ち、慌ただしく小樽の数ヶ所を観てまわりました。
ニトリ芸術の村、ステンドグラス美術館はとてもきれいですね。
来年の6月には近代絵画美術館がオープンとのこと、今度はゆっくり観に行きます。
渡辺さんが「すごい」と言ってた近代絵画館も期待大です。