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■第33回大洋会道支部展 (2016年1月21日~26日、札幌)

2016年01月26日 23時08分58秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 大洋会は、「美術家名鑑」によると、1978年に創元会から分かれて発足した具象絵画の団体公募展である。

 79年に第1回の大洋展を開いた当初の様子は、こちらのページから確認できるが、大洋会のサイトの表紙からはたどりつくことはできないようである。
 東京での大洋展は、東京都美術館を会場として秋に、一水会と同時期に開かれており、六本木の国立新美術館には移っていない。

 道支部展は、自由美術や春陽と並んで、必ず毎年開かれる支部展として、道内では最も長く続いているものの一つであろう。
 1月という、ほかに展覧会が相対的に少ない季節であることも手伝い、筆者はけっこうマメに見ている。
 もっとも、出品者に、道展や全道展の出品者や、個展の開催者が少ない(原田富弥さんは例外であろう)ためか、筆者の周囲で、話題になっていることはそれほどないような気がする。
 筆者は個人的に、こういう展覧会は案外ホッとして、好きである。現代絵画の最前衛でもなければ、単なる写実でもない、絵らしい絵が並んでいるように感じられるからだ。

 ただ、100号クラスの大作は減少している。
 東京での展覧会も同様らしく、都美術館で使用する壁面も減り続けているという。
 若手の団体公募展離れと高齢化は深刻であり、以前は搬入できなかった50号や30号の作品も陳列されるようになってきたとのことだ。



 左は瀬川裕子さん「カベの詩」。
 英文が書かれている。キュビスム的で複雑な空間処理の絵が多い瀬川さんだが、今回はずいぶんすっきりとまとまっている。

 右は原田富弥さん「晩秋の樽前山」。
 東京都美術館での展覧会には、同郷(室蘭)の出身者もけっこう来てくれるそうだ。その人たちから、胆振地方を描いた絵を希望されたために描いた、と原田さんが笑いながら説明してくださった。
 下地に鮮やかなオレンジを使っており、画面全体が底光りしているというか、生き活きしている感じを受ける。オレンジ自体は山の稜線のあたりにしか見えないのに、絵全体を活性化させており、このあたりが油彩の不思議さである。




 左は森田幸江さん「夏の丘」。
 俯瞰気味に、丘陵の畑作地帯を描いているのは、小野州一の晩年の代表作「丘の風景」を想起させる。小野さんの絵も個性的で躍動感あふれるが、森田さんの絵も、現実にはあり得ない群青の畑が中央部を占め、輪郭線も黒々として広大なスケール感を表現しており、個性の豊かな作品だ。

 中村香代子さん「4月のフランス」。
 パリの風景をつなぎ合わせたもの。
 シャガール的な画題といえそうだが、左上の煙突は何なんだろう?
 


 右は植野徳子さん「静物の詞」。
 コラージュを用い、水色のしぶきが散り、詩的な情緒が感じられる。


 他の出品作は次の通り。
原田富弥  美瑛の丘  荒畑の道  斜里岳(浜小清水原生花園)  兜沼より利尻岳遠望
瀬川裕子  教会  室内  花
中村香代子 いらっしゃ~い  トルソーとびん  どこまでも
植野徳子  あじさい  赤い花  ガラスのコンポート
豊川陽子  贈り物  バラ  樹氷  SAKURA
熊谷富子  浜辺で月蝕を語るオシム氏  山  風景
赤羽八重子 バラ
豊岡猛   JAZZカルテット  バイオリンを弾く女  トランペットを吹く男
石本興治  秋の定山渓  積丹ブルー
綿谷憲昭  長崎の夕景  プラハ城  尾道風景
早坂隆   初秋の頃  木洩れ日の径
日下康夫  羊蹄初春
手塚陽子  早春  樽前山遠望  雪の札幌教会


2016年1月21日~26日(火)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
大同ギャラリー(札幌市中央区北3西3 大同生命ビル3階)

□大洋会 http://www.geocities.jp/taiyokai1604/

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