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彫刻家・多田美波さん死去

2014年03月26日 23時50分02秒 | 新聞などのニュースから
 けさの北海道新聞など各紙に、彫刻家の多田美波さんの死亡記事が載っていました。89歳でした。

 共同通信のサイトから引用します。

 女子美術専門学校(現・女子美術大)卒。1960年ごろから、アルミなどの工業用材を使った彫刻をいち早く手掛け、外光を巧みに生かした立体造形をステンレスやアクリル、ガラスで制作、高く評価された。皇居宮殿のシャンデリアや帝国ホテルの内部装飾など、建築を華やかに飾る仕事でも活躍した。


 毎日新聞では次のように報じています。

 (前略)女子美術大で油彩画を学んだが、1957年、東京・炭労会館に飾る鉄のレリーフ制作を機に、立体造形へ転向。彫刻の素材としては新しかったガラスやアルミニウム、ステンレスなどを積極的に使い、洗練されたフォルムの抽象彫刻を次々と発表した。

 反射や光を生かして周辺の環境を作品に取り込む公共彫刻は高く評価され、71年、山口県宇部市の現代日本彫刻展(現・UBEビエンナーレ)大賞、76年神戸須磨離宮公園現代彫刻展大賞などを受賞。80年、女性彫刻家として初めて毎日芸術賞を受賞した。

 68年、皇居新宮殿の光の造形を皮切りに、公共空間に合わせた環境彫刻の仕事も急増。東京・帝国ホテルの壁面作品や劇場のどんちょうなど多彩な仕事を繰り広げ、最晩年まで精力的に創作活動を続けた。日本芸術大賞、吉田五十八賞など受賞多数。


 こっちのほうが詳しいですね。

 賞としては、第8回現代日本彫刻展で東京国立近代美術館賞、第1回ヘンリー・ムア大賞展で「極」が大賞(いずれも1979年)。
 芸術選奨文部大臣賞も受けています。

 野外彫刻、モニュメントも全国各地にありますが、ただし、いまの現代美術の流れに位置づけようとすると、ぴったり来る場所がちょっと見つけづらいのかもしれず、活躍の大変な幅広さに比べると、一般的な知名度は高くないかもしれませんね。


 残念ながら、北海道新聞ではなにもふれられていなかったんですが、どうして筆者がこの訃報をブログに転載しているかというと、多田さんの巨大な作品が、旭川の買物公園にあるからです。
 「座標」という作品です。

 上のエントリにも書きましたが、あまりに巨大すぎて、しばらく筆者は気づいていませんでした。

 これは、買物公園に置かれている彫刻がいずれも人間に近い大きさであることも、手伝っていると思われます。

 旭川叢書「あさひかわと彫刻」によると、これは1978年、旭川西武デパートが完成したことを記念し、翌79年に設置されたもので、高さはなんと27.86メートル。素材はステンレスです。

 このほか、彫刻の森美術館(神奈川県)のプレスリリース(pdf)によると、十勝管内士幌町の庁舎に「双葉」などがあるそうです。

 また、札幌彫刻の森にも「位相」という作品が設置されています。

 ご冥福をお祈りします。


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