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■浮雲 青木栄隆写真展 (8月1日まで)

2008年07月30日 23時46分08秒 | 展覧会の紹介-写真
 1947年長野県生まれで、名古屋で広告写真にたずさわるプロ写真家の個展。
 風景写真を撮るようになったのは近年のことだそうですが、静けさと簡潔さに満ちたカラー写真33枚が魅力的です。
 作品は「EOS 1Ds mk2」などを使用。デジタルにありがちな、緑の平板な感じなどはほとんどありません。

 ここには、めずらしい被写体や、すごいシャッターチャンスによる一瞬の出来事-といったものは、皆無です。
 水辺の草、海の中に突き出た小さな岬と木、綿毛になったタンポポと夕日、湖畔にもやってある小舟、フキと青空を映す水面に浮かんだアメンボ、日陰になった谷間に咲き乱れるコスモス、岩礁に砕け散る波、紅葉、雪の林…。
 平凡な被写体なのに、計算されつくした構図と露出により、完成度の非常に高い、緊張した画面が生まれています。このあたりは、広告のプロカメラマンとしての技量が現れているのでしょう。そして、緊張していると同時に、見ていて心が癒やされる思いがします。

 全体として、おおむねですが
水辺→春→秋→冬の雪景色 
という流れになっています。
 人物がほとんど登場しない作品ばかりの中で、最後の1枚だけは、雪の中を、こちらに背を向けて歩き去っていく人が写っており、余韻をただよわせます。

 けっして声高に主張する写真ではないのですが、いつまでも心にしみいるような、残響を感じさせる画面でした。

 最後に、会場にあった作者のことばから引用しておきます。

シャッターを切る瞬間の自分のイメージと現実のギャップを少しだけデジタルの力を借りて私なりの風景として定着してみました。

 
08年7月22日(火)-8月1日(金)9:00-17:30 土、日、祝日休み 
キヤノンギャラリー(北区北7西1 SE山京ビル 地図A) 


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