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■あな展 吉成翔子 (11月28日まで)

2010年11月27日 20時58分41秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
承前)

 道教大大学院在学中の若手、吉成翔子さん。
 冒頭画像のうち、左端の縦長の「ぽっかり」は計3点出品。中央は「あちらからこちらからどこへでも」、右の床上に転がっているのが、新作「あなのなか もっとおく」。
 修了論文などで超多忙なのに、新作を出してくるのはさすがです。



 「あなのなか…」は、まるでサイロのような作品。
 見に来ていた姉妹らしき子どもふたりが、両はしにすわってのぞきこんでいたのが、ほほえましかったです。

 昔は、牧草の貯蔵用に使われていたサイロですが、ロールのままで保存する方法が普及してすっかり無用の長物になってしまいました。
 札幌あたりでは、住宅地の中の公園などに残っていることも、少なくありません。
 
 幌加内の牧場に育った吉成さんは、もちろんサイロが現役で活躍していた時代は知りませんが
「離農して残されたサイロが周囲にあって、廃墟のようなたたずまいが好きで写真に撮ったりしてましたよ」
とのこと。




 大きいほうの穴からのぞきこんでみると、奥のほうに、芽のようなものが三つほど見えます。
 上部に小さな穴があいていて、そこから天井のスポットの光が差し込んでいるのです。
 こればっかりは写真ではなかなか撮りづらいので、実物をごらんいただければ…。 




 底部から見た作品。
 やはり穴があいていて、向こう側が見えます。
 外側をつる草のようなものがうねっていて、作品に物語性のふくらみを与えているのが吉成さんらしいです。

 右奥に見えるのは「ぽっかり」。




 「あちらから…」。
 もしかしたら、「はしご展」のほうが合ってたかも?

 これも、全体のフォルムやマッスで見せるのではなく、装飾的な部分が楽しい作品。近代彫刻的な価値基準で見ると余計な要素が多いという批判になるのかもしれませんが、筆者は、これはこれで楽しくて良いと思っています。

 ということで、4人の個性が競い合う、見ごたえのある展覧会でした。

 
2010年11月19日(金)~28日(日)10:00~6:00、月曜休み
北広島市芸術文化ホール ギャラリー(北広島市中央6 JR北広島駅東口すぐ)

吉成翔子個展 (2010年9月)
遠くを聴く この言葉で繋がる7人の世界 (2009年11月)
金工時間 金属造形作家3人による展覧会 松田郁美・町嶋真寿・吉成翔子(2009年9-10月)
金工展(2008年)=画像なし


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