江別在住の金工作家、小林繁美さん(1939~2020)の遺作展。
急逝したのが新型コロナウイルスの感染拡大期で、葬儀も関係者だけで営まれ、このたび道展などの有志が追悼展の開催にこぎ着けました。
多くの作品は寄贈先がすでに決まっています。戦後北海道の立体作家で最も重要なひとりだと筆者は考えていますが、その作品をまとめて鑑賞できるほとんど最後の機会であり、ぜひごらんになってほしいと思います。
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「gallery 麒麟きりん」とは初めて聞く名ですが、南区真駒内柏丘4に「吉兆窯」を開いている陶芸家・坂田真理子さん宅です。
坂田さんと、砂川に「浮浪工房」を開いている内海真治さんとは、これまでも2人展を開催しており、室内には両者の作品が所狭しと並んでいました。
見ているとアフリカの軽快な打楽器のリズムが聞こえてきそうなこれらの仮面は、坂田さんの作品だと思います。
窓の . . . 本文を読む
(承前)
「南区芸術祭2022 ミンナミニイク ミナミナク」の共催行事。
出品者は次の通り。
伊賀信 /
蛯澤允子 /
大賀千尋 /
上遠野いこひ /
鴨下玄 /
鴨下蓉子 /
小林優衣 /
髙山暦 /
村田佳彦 /
森つくし
かんざし、ピアス、ネックレスなどが並び、素材も、陶や金属などさまざまです。
これだけバラエティに富んだアクセサリー展も珍しいと思い . . . 本文を読む
今年83歳になる札幌の(この会場の近くに住んでいる)ベテラン木彫家。
初めてオホーツク管内で(訓子府町)個展を開くなど、いまも精力的に制作・発表を続けています。
今回の個展会場は、これまで筆者が見たなかでも、一、二を争う広さで、出品点数も約100点とみ蔵さんの個展では相当多いほうだと思います。
周囲の壁にはレリーフが飾られ、大きな三つのテーブルには、おおまかに
・和服の人物の立像
・ゴ . . . 本文を読む
道内外の個性的な陶芸・ガラス作家を紹介し続けている札幌市白石区の「悠遊舎ぎゃらりぃ SAPPORO」に行ってきました。
今回の色絵のグループ展は、たまたまですが出品の作家3人全員が関西の女性で、札幌ではなかなか見られないタイプの陶芸です(このギャラリーでは過去に登場しています)。
ただ、筆者の写真の技倆の問題なのか、今回ここに載せた写真は、その真価を伝えられていないように感じます。すみま . . . 本文を読む
道内各地のプロ陶芸家による集まりである「北海道陶芸会」の、恒例の年1度の展覧会をギャラリー大通美術館で開いています。
この会場の、部屋がパーティーションで五つに分けられている特徴を生かし
・メインとなる大型の作品展
・食器、花器など小品を中心にした展示
・今年のテーマ「涼を楽しむ」
・提携している米国オレゴン州陶芸協会の陶板などの作品展
と、おおまかに分かれています。すっきりした見やすい構成 . . . 本文を読む
札幌を拠点に木のアクセサリーなどを作っている辻有希さんの個展。
石器のフォルムに心ひかれてきたという辻さんが、それを模して作ったオブジェの数々を、特別にあつらえた箱の中に並べていました。
箱の内側には、光を反射しないという特殊な黒い布が貼られていて、写真撮影は自由でしたが、露出が非常に難しかったです。
今回の作品は「STONE TOOL」という一冊の作品集にまとめられて、300部限 . . . 本文を読む
北川智浩さんは、江別在住で、日本工芸会正会員の陶芸家。
白磁や、ピンクを帯びた桃白磁とうはく じ の清楚な器を手がける一方で、東日本伝統工芸展の開催など裏方の仕事にも力を注いでいます。
後ほどちゃんと書きますが、この10月には三越札幌店で大規模な工芸展を開くとのことで、ますます忙しくなりそうとのこと。
茶器もあれば、マグカップ、ジョッキ、皿、フリーカップなどもあります。
白磁にはシャー . . . 本文を読む
(承前)
なな窯土裕陶房を江別に開いている新林裕子さん。
オオバナノエンレイソウ、ヤマボウシ、ナナカマド、ノブドウ、コスモスなど、身近な草や花が描かれた、皿や箸置きなど、普段使いの器が展示されています。
以前は、ほんとうに淡い色合いだったんですが、今回3年ぶりに見たところ、だいぶ色が濃くなってきているようです(ご本人はあまり意識していなかったようです)。
自分が幼いころ、野で遊んだ記 . . . 本文を読む
京都府綾部で800年間受け継がれてきた黒谷和紙に新しい命を吹き込むハタノワタルさんの個展。
壁に掛かっている10点余りの平面は
「積み重なったもの」
と
「窓から見える景色」
の2種類。
紙のほか土、和紙の原料となる「こうぞ」などを混ぜて作っており、前者のシリーズは凹凸のあるワイルドなマチエールを表現した作品、後者はごくシンプルな抽象画のようです。
いずれもモノトーンで、質素な味わいです . . . 本文を読む
札幌拠点の染色家、西本久子さんの個展を、Gallery RETARA で見るのは7年ぶりです。
その7年前の個展で、会場から出たときに空で偶然見かけた彩雲が、今回のモティーフです。
西本さんといえば、シルクオーガンジーという非常に軽い素材で円筒状の立体を複数張り渡すインスタレーション「ふぁー」で知られますが、今回は木綿の白いハンカチが素材です。
「私もことしで80歳、大きいのを作るのは大 . . . 本文を読む
ユニークな陶人形をつくる札幌の前田はるなさんが3年ぶりとなる札幌での個展を開き、終了間際に駆け込んできました。
超絶技巧ということでもなければ、鋭く社会を撃つというタイプでもなく、実用性に富んでいるわけでもありません。ひたすら、ゆるいです。
かといって、抱腹絶倒のセンスというのでもなさそうで、とにかく、見ていると
「まあ、こういう作品もあってもいいよなあ」
というのんびりした気持ちになってく . . . 本文を読む
北見市留辺蘂 る べ しべ町在住の片岸法恵さんからご案内をいただき、最終日にようやく見に行くことができました。
案内状には
国展準会員 天然染料で染めた糸での着尺を出品
全道展会員 タペストリーを出品
とありました。
そうなんです。片岸さんは国展と全道展で、出品する作品のタイプが違うのです。
国展は、絵画部にはバラエティーに富んだ作品が並んでいますが、工芸部は伝統的な、あるいは民 . . . 本文を読む
(承前)
国内外で活躍する小樽の染織造形家の個展。
いわゆるテキスタイル作家とは異なり、ユニークな発想による素材選びと造形で、斬新な作品を発表しています。
前回までの個展で発表した作品もありますが、新作もあります。
冒頭画像の中央は「覗く緑」。
素材は麻糸や絹糸と、普通です。
題名を見ると、横から内部をのぞいて見てほしいようです。
不思議にねじれた構造をした同一の大きさの半立体 . . . 本文を読む
これがアートか? と問われると、ビミョーなところだと思うのだが、なにせ
「展覧会」
という存在そのものに日常的に飢えているというところもあるし、作者の前田幸治さんがかつて置戸での大規模なアート展に出品していたという事情もあり、ご海容いただきたい。
筆者は前田さんにはお会いしたことがない。
オホーツク管内置戸町のお住まいで、土地を確保して小屋を建て、黒曜石の加工にいそしんでいるらしい。
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