北海道美術ネット別館

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■第36回アルディ会展(3月1日まで)

2008年02月26日 23時34分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 米谷哲夫さん(全道展会員)が指導する道新油絵教室の展覧会。
 前身は、道内画壇の大御所だった国松登さんが講師を務めていたHBC文化センターの火曜油絵教室で、道内でもかなり歴史の古いほうだと思います。
 毎年この時期に時計台ギャラリーの2階を借り切って展覧会をひらいています。

 教室展といっても画歴の長い人も多く、全道展会友が毎年2人出品していました。
 今回は、そのうちのひとりである福江文子さんの姿が見あたりません。
 もうひとりの佐藤説庫(えつこ)さんは「地風景(祈り)」などを出品しています。
 「地風景」は、北海道の畑作地帯を上空から眺めたような、やや不規則で多様な色の矩形を連ねた抽象画のシリーズで、何年も前から取り組んでいるものです。今回は、ピカソ「泣く女」や、ミロの星、月などが“引用”されているのが特徴でした。

 ほかにも全道展で入選を重ねている人が何人もおり、100号クラスの大作を搬入しています。
 おそらく、ここでいろんな人の意見を聞いて最後の仕上げをし、6月の全道展に出品するのでしょう。
 ただし、筆者の好みで言えば、どうしても、大作よりも、そのとなりに展示されている人物画の小品などの方が好ましく感じられます。
 なんらかのかたちで画面に構成を持ってくる必要のある大作にくらべ、モデルの人物にすなおに向かい合っているような絵のほうが、見ていてほっとするのです。

 そういった「入選組」でない人のうち、堀江尚さんの絵が気になりました。
 「花」「町(1)」「北大構内」の小品3点を出品しています。題のとおりの、とりたてて変わったところのない絵で、技法的にも特別優れているというものでもありません。
 ただ、3点を前にしていると、この作者には、見る人の目を奥の方まで導いていこうとする並々ならぬ意思のようなものが感じられて、しかたないのです。
 20世紀の絵画は、写実的な作品は別として、奥行き一般を排除する方向で進んできたところがあります。そこで、かえって堀江さんの絵が新鮮に見えるのかもしれません。

 小澤宣子さんの絵も見ていて気持ちが良かったです。
 「バラ」など、何のてらいもなく、見たままに対象をわしづかみにして、元気よく筆を運んでいることに、共感しました。
 戦前の名だたる洋画家なんかが描いてそうな感じの佳品だと思います。

 岩村紀代子さん「白いセーター」は、アカデミックな描法による明暗をつけるやり方によらずに、どうやって人物の立体感を表現したらよいか-という問題について苦闘し、それなりの答えを出している作品だと思いました。もちろん、平板に処理するのもひとつのやり方でしょうが、岩村さんの絵の女性は、たしかに腕が腕に見えるのです。これはけっこうタイヘンだと思います。

 全道展に入選している人では、仲井みち子さん「木のある風景」が目を引きました。
 いつも、晩秋などの枯れた寂しい風景を描いている仲井さん。今回は、縦構図にしているところがおもしろいと思います。

 なお、講師の米谷さんは「バラ」と題した静物画2点を賛助出品しています。


08年2月25日(月)-3月1日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


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